発達障害とは何か。種類と症状について講演会で学んだことまとめ。

発達障害という言葉、一度は聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。

 

発達障害関係の話題はテレビなどでも取り上げられる機会が多くなっているように感じています。

 

我が家には5歳になる自閉症スペクトラム児の次男がいることもあって、こうやってメディアなどが取り上げてくれることにより、発達障害の認知度がもっと世間に広まれば…と期待しています。

 

が…

 

いざ「発達障害って何?」と聞かれたら、一体世の中のどれくらいの人が答えられるのでしょうか。

 

私のように発達障害児の親であれば、療育機関などで何かと勉強会なども多いという理由から、ある程度の発達障害の知識はもっているものです。

 

ただ、発達障害児に触れ合う機会が全くないような環境の方だと、発達障害についてそれがどういう症状をあらわす言葉なのかは正確にはわからないと思います。

 

テレビなどで取り上げられている発達障害の方などはほんの一例にすぎず、実際の発達障害というのは人の数だけ特性があるといっても過言ではないくらい、幅広い症状を含んでいます。

 

この症状の多様性こそが、発達障害を抱える人とその家族が周囲から誤解を受ける原因のひとつになっているように私は考えています。

 

そこで今回は、発達障害とはどういうものなのかについて、先日発達障害の講演会で学んできたことをまとめてみようと思います。

 

発達障害について全く知らないという人でもわかりやすいように、その種類と症状について大きく4つに分類していますので、参考にしていただけると幸いです。

 

 

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発達障害の定義

そもそも、発達障害とはどのように定義されているものなのか。

 

文部科学省ではこのような文言がありました。

 

発達障害とは、発達障害者支援法には「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義されています。

出典:文部科学省HP より

 

これだけでは具体的にはわかりにくいと思いますので、下記の図をご覧ください。

 

(出典:政府広報オンラインHP より)

発達障害はその特性により、自閉症やアスペルガー症候群など、さらに細かく分類されています。

 

みていただいたらお分かりになるように、発達障害というのは言葉の発達や人との関わりなど、日常生活において困り感が出るような特性のことを言います。

 

そして、注目していただきたいのが、その特性の原因が「脳機能の障害」であるという点です。

 

発達障害の特性というのが、「ちょっと人見知りなのかな」「ちょっとやんちゃなのかな」などと思われがちで、一般的には「脳機能の障害」とは気づかれにくいものです。

 

この部分についての詳細は後述しますが、発達障害というのはパッと見だけではなかなかそれとは判断されづらいという特性に苦労されているご本人・ご家族が本当に多いです。

 

では、具体的な発達障害の種類・症状についてみていきます。

 

 

1.ゆっくりタイプ(知的障害)

このタイプは、心身共に全体的な発達がゆっくりな人をさします。

 

本来、知的障害というのは発達障害のくくりには入らないのですが、発達障害とこの知的障害を併せ持った場合も多々あることから、ここでもひとつの特性としてお話しておきます。

 

ゆっくりタイプのお子さんは、言葉や運動(手先の動き)などに遅れがみられます。

 

知的障害かどうかは、主に「発達指数(DQ)」と「知能指数(IQ)」によって判断されます。

 

ただ、注意いただきたいのは、知的障害かどうかは発達検査や知能検査だけで判断されるわけではないという点です。

 

保護者への子どもの日常の様子の聞き取りなどで総合的に最終判断がなされ、また定期的に検査を行うことで、これらの指数は成長と共に変化していく場合も多々あります。

(次男は、発達検査や知能検査を受けた2歳当初は、「軽度精神遅滞」と「軽度知的障害」という診断名でしたが、今は自閉症スペクトラムに変わっています)

 

発達指数(DQ)とは

発達指数というのは、子どもの発達水準を数値化したものです。

 

新版K式発達検査や乳幼児精神発達診断法などが、現在では多く使われています。

 

この検査では、主に子どもの日常生活面での発達状態を知ることができ、検査によって出された時点での発達段階の月齢(発達月齢)と実年齢(生活月齢)を下記の計算式から算出した数値が発達指数になります。

 

発達月齢 ÷ 生活月齢 ×100 = 発達指数(DQ)

 

つまり、5歳の次男が発達検査を受けて5歳の発達状態にあると結果が出た場合、発達指数は100になります(架空の話です)

 

発達に遅れが見られるかのボーダーラインの数値は70と言われていますが、軽度や重度などの境界は、自治体により独自規定があったりもしますので、気になる方はお住まいの地域の役所などで尋ねていただくのが確実です。

 

この発達検査によって子どものどのような部分を見るのかというのは、こちらのサイトが参考になるのでご覧になってみてください。
参考 発達検査表

 

知能指数(IQ)

知能指数というのは、その人の知能面を数値化したものをさします。

 

「IQ=頭の良さ」みたいなイメージがあり、こちらの方が発達指数よりなじみがあるかもしれませんね。

 

知能検査では、物事の理解や知識の程度をはかる内容になっており、田中ビネー知能検査などが有名です。

 

知能指数の算出方法も発達指数と同様に、現段階での知能年齢と実年齢から求めることができます。計算式は同じです。

 

知能指数にかんしても、ボーダーラインの数値は70となっています。

 

この発達指数と知能指数の数値に加え、保護者の話や本人の様子などから総合的に発達が遅れていると判断された場合が知的障害となります。

 

 

2.落ち着きがないタイプ(ADHD)

発達障害の特性のひとつとして、ADHD(注意欠如・多動性障害)というものがあります。

 

文部科学省では以下のように定義されています。

ADHDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものである。
また、7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。

出典:文部科学省HP より

 

やや表現が難しいですが、要するにADHDの特性は…

 

■じっとしていられない(多動)
■黙っていられない(多弁)
■集中することができない(不注意)
■ついつい体が動いてしまう(衝動性)

 

このようなものがあります。

 

小さな子の場合だと、どこに行っても走り回っていたり、幼稚園などでのお集まりの時間もひとりウロウロするなどの行動がみられます。

 

じっと椅子に座ることも苦手なため、椅子からずり落ちてしまったり、だらけたような姿勢になってしまうこともあります。

 

大人になると、ひとつのことに集中して作業することができないためミスが多発したり、自分の事ばかりを話して会話のキャッチボールができないなど社会生活に影響がでてくるようになります。

 

こういったADHDの特性というのは、一見すると親の躾の悪さだったり本人のやる気のなさという風に捉えられてしまうところが、さらに本人とその家族を悩ませてしまいます。

 

 

3.マイペース・こだわりタイプ(自閉症スペクトラム)

発達障害の中には、自閉症スペクトラムという特性もあります。

 

スペクトラムというのは英語で「連続体」という意味の言葉で、自閉症的なさまざまな要素が複雑に絡み合った特性をひっくるめて自閉症スペクトラムと言います。

 

音に極端に敏感な子もいれば、場所にこだわる子もいたりと、その特性の種類や程度は人によりさまざまなため、このような総称ができました。

 

自閉症スペクトラムの特徴は大きく3つ…

 

①人との関わりを持つのが苦手
②こだわりが強い
③感覚の独特さ

 

というのがあります。

 

1.人との関わりを持つのが苦手

自閉症スペクトラムの子どもは…

 

■名前を読んでも振り向かない
■ひとりで遊ぶことを好む
■人と視線があいにくく、指差しをしない
■発語が遅れ、会話が成立しにくい
■言葉のオウム返しやセリフのような言い回しをする

 

などの特性から、人との関わりを好まない傾向にあります。

 

我が家の次男は先にあげた症状すべてに当てはまっていましたが、5歳の現在では「名前呼び」「指差し」は完全に改善しました。

 

ただ、いまだに慣れない人には目をあわせませんし、自分からはお友達に絡むこともほぼないですし(絡まれたら遊べるようにはなりましたが…)、オウム返しとセリフのような言い回しは療育園からモロに指摘されている事項です。

 

話し方に抑揚がないんですよね。

 

なので、月齢以上に幼くみられますし、話し方を真似されてからかわれることもあります。

 

 

2.こだわりが強い

また、自閉症スペクトラムではこだわりが強いというのも特徴です。

 

■物事への興味関心が偏っている
■同じ遊びや動作を繰り返すことを好む
■きまった順序を好む
■それらが思い通りにならないと、激しい癇癪を起こす

 

ここは次男がドストライクな部分なのですが、自閉症スペクトラム児のこだわりの強さというのは「これが好き」という次元を超えています。

 

よくあるママさん同士の会話で「うちの子、アンパンマンにハマってて~」などと言うのがありますが、それは一般的に「アンパンマンを好んで観る」「アンパンマングッズに喜ぶ」という程度だと思います。

 

が、自閉症スペクトラム児の場合は、「それがなければダメ!」というレベルです。

 

我が家の内部初公開ですが、数字や文字が好きな次男、現在はこんな状態です。

 

なにかの儀式が始まるのかと思われるかもしれませんが、すべて次男のこだわりです。

 

絵を描き、字を書き、それらを展示する。

 

最近は折り紙にもハマっているので、自分の作品はすべてこうやって飾っておかないと気がすまないのです。

 

場所もすべて決まっていて、不測の事態で落下してしまったものをこちらが気をきかせて貼り直したとしても、場所が違っていれば癇癪の原因になります。

 

こだわりというのは変化に対する予防策とも考えられており、物事の変化に不安を覚えやすい自閉症スペクトラム児とこだわりの関連性はとても密接だと私は感じています。

 

3.感覚の独特さ

自閉症スペクトラムの特性として、固有の感覚をもっている場合が多々あります。

 

■音に過敏に反応する
■裸足になれない
■過度の偏食がある

 

これらも一見すると「わがまま」と捉えられかねない事柄ですが、特定の感覚に対して鋭すぎるため、日常生活が困難になっている場合が多々あります。

 

 

4.学習能力のデコボコタイプ(LD)

発達障害の中には、特定の分野にかんしてだけ非常に苦手感がでるタイプがおり、そのような特性をLD(学習障害)とよんでいます。

 

学習障害というと、「何かの勉強が極端にできないとかかな?」と思う方もいるかもしれませんが、LDは勉強面に限った特性ではありません。

 

■読み書きや計算などへの障害(純粋なLD)
■コミュニケーションへの障害(ことばのLD)
■手先や運動面での障害(運動のLD)

 

などがあります。

 

LDの特徴としては、困り感が出るのは特定の分野だけで、知的障害のように全体的に発達が遅れたものではないという点です。

 

知人の娘さんの話ですが、小学2年生でおしゃべりも上手にできる子なのに、自分の名前をまだ書けないというお子さんがいます。

 

苦手分野以外は普通にできてしまうことで、その特性を誤解されやすい(ふざけているのではないか…など)という日常生活での困り感がでてきやすいのがLDの特徴です。

 

 

発達障害児と家族が抱える苦悩

お話してきたように、発達障害というのは一見しただけではそのような特性とは気づかれにくいことに別の問題が潜んでいるように私は感じています。

 

「わがままね~」「躾がなっていないわね~」「なんで親は叱らないのかしら」

 

発達障害というのは、先述したように脳機能の問題であり、問題行動に対して叱って改善するようなものではありません。

 

その子に合った接し方で、長い時間をかけて、徐々に適応させていくようなイメージです。

 

最近、ある特定の場所に限って多動の傾向が出てきた次男を見ていて思うのは、本人もそれを抑えられないどうしようもない状態になってしまうんだろうな…ということです。

 

心ここにあらずという面持ちで、走り回り暴れたくっている次男をみていると、本当に次男の脳神経を恨めしく思う気持ちがわきあがります。

 

ただ、こんな次男の実態を知らない他人からすると「なに?あの子?」となるわけで、そう思われても仕方がないという気持ちも理解しているつもりです。

 

でも、やはり辛い。

 

世間の目は、発達障害児やその親に対してとても厳しく感じる時が多々あります。

 

今回、こうやって発達障害の詳細についてまとめてみたのも、発達障害について「こんな感じだから許してね」という意図ではありません。

 

理解できなくてもいい。ただ、そういう特性を持った子がいるということを知ってもらいたいのです。

 

スーパーでギャーギャー泣いている子がいても、独り言を言いながら走り回っている子がいても、挨拶を無視する子がいても、「もしかしたら、そういう特性なのかな」と思ってもらえるだけで、きっと発達障害児の親は救われます。

 

発達障害の特性は、怠惰でもわがままでもありません。

 

本人にはコントロールすることが難しい特性なのだと多くの方に知ってもらうことで、発達障害に対する誤解や偏見がなくなれば…と願っています。

 

 

 

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