発達障害児のこだわりってどんなもの?自閉症スペクトラムの次男の具体例。

我が家の次男は現在5歳。自閉症スペクトラムと診断されています。

 

こだわりと癇癪が強いのが特性です…。

といつも書き出していましたが、実際発達障害児と接する機会のない方にとっては「こだわりが強いってどういうこと?」と感じているのではないかと、ひそかに思っていた私。

 

「こだわりって、匠(たくみ)な感じ?」
「匠、渾身(こんしん)の一滴みたいな?」
「ガテン系?ラーメンで言えば、家系?」
※これらの職業と発達障害にかんしては何の関係もありません。たんなる私の妄想です。

 

というような感じで、私の妄想のように、発達障害のこだわりというのはもしかしたらイマイチ一般に認識しづらい特性なのではないかと感じていました。

 

そこで、今回は「こだわりの中で生きる男」次男の具体例やこだわる理由などをあげ、少しでも多くの方に発達障害のこだわり特性についてお伝えできればと思っています。

 

こだわりというのは子どもの数だけ種類があるほど多様なものなのですが、発達障害児がどのような物・場面でこだわりやすいのかなど、ある程度の傾向を踏まえてお話していこうと思います。

 

 

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自閉症スペクトラムの次男のこだわり例

そもそも、こだわりとはどういう意味なのかご存知でしょうか。

 

普段の会話などで一般的に使われる「こだわり」という言葉は、先ほどの私のしょうもない妄想例のように、どちらかというと良い意味で使われることが多いように感じます。

 

料理であれば「シェフこだわりの逸品」などという謳い(うたい)文句がそれですね。

 

ですが、こだわりという言葉の意味は、本来ネガティブなものです。

 

三省堂大辞林では…

①心が何かにとらわれて,自由に考えることができなくなる。気にしなくてもいいようなことを気にする。

 

②普通は軽視されがちなことにまで好みを主張する。

 

③物事がとどこおる。

 

④他人からの働きかけをこばむ。なんくせをつける。

このように表記されています。

 

発達障害児の場合のこだわりは、このネガティブな面が日常生活のさまざまな場面ででてきやすく、その特性が本人の生きづらさとなってあらわれてきます。

 

時には、そのような特性を「わがままだ」と捉えられたりしてしまうところも、本人やその家族を悩ます原因のひとつになっています。

 

こだわる対象としては、主に「物」「場所」「順序」にあらわれてくることが多く、ただこだわる対象の詳細については個人差が大きく、特色が出るところです。

 

1.物へのこだわり

次男の場合、もっとも強く出ているのが「物へのこだわり」です。

 

自分が着る服・使う箸・寝る前に読む本・文字・数字…。数え上げるとキリがありません。

 

同じ服ばかりを着たがるというのは何度かお話してきましたが、これも他人に話してもなかなか理解してもらえない部分です。

 

「決まった服しか着れないってどういうこと?」

「違う服を着たらどうなるの?」

 

など質問をされることが多々あるのですが、決まった服以外を着せようとすると暴れます。

 

なので、決まった服以外を着せたことがないため、着せるとどうなるかは私にもわかりませんが、とても大変な事態になるということだけは予想できます。

 

お箸も使えるようになったのに、自宅でいつも使っている六角箸以外は使いません。割り箸もダメ。

お箸の練習に焦りは禁物!子供に正しい持ち方を教える最適のタイミングとは?

 

ここも「わがまま言ってるだけじゃない?」と思われる部分かもしれませんが、発達障害児の場合はそうではなく、受け入れられる物が極端に限られてしまっているのです。

 

誰でも苦手な物というのは一つや二つはあるかと思いますが、多くの人の場合それはちょっと我慢できる程度であったりするかと思います。

 

が、そんな私たちでも極端に苦手な物って存在しますよね?

 

黒板をキ~ってさせる音だったり。

 

私の場合は背中を触られるのが気が狂うほど嫌です。子どもの頃にやった、背中に字を書く伝言ゲームとかハイレベルの拷問でした。

 

そんなどうにも我慢ならない状態の物が、発達障害児の場合は多すぎるんですよね。

 

ストライクゾーンが狭く、いろんな物に対して過敏なため、そしてそれらが多くの人からみた場合「それ程大したことではないんじゃない?」と思われがちな事柄のため、なかなか理解してもらいにくいという現状があるように感じます。

 

 

2.場所へのこだわり

発達障害児の場合、「場所へのこだわり」を持っているお子さんも多々います。次男もそうです。

 

■物がいつも決まった場所にないと気分が崩れる

■ある特定の場所に行くことができない

 

他人からすると「なんで?」と思えるようなこだわりですが、こういう特性を持ったお子さんは結構多いです。

 

以前写真付きでご紹介した次男の作品展示のこだわりも、それがいつも決まった場所にあるという状態を好むため、それに付き合う家族としてはなかなか大変です。

発達障害とは何か。種類と症状について講演会で学んだことまとめ。

 

また、自販機好きな次男は、一部売り切れ表示になっていたりしても気分が崩れます。いつも同じ状態の自販機を好むからです。

 

また、次男が小さい頃は、ある特定のお店に入ると泣いて暴れるということがありました。

 

まだ言葉もよく話せない時だったので何が原因だったのかはわからなかったのですが、いわば強烈な場所見知りというのがありました。

 

今でも、場所によっては「ここ、ダメ~」と言いながら行きたがらなかったりもするので、場所のこだわりというのは、子どもによって何かしら理由があるのだろうと思っています。

 

 

3.順序へのこだわり

次男の場合、療育園への登園時のルートや何をするかなどがほぼ決まっています。

 

この店の前で看板を読んで、あそこの駐車場では車のナンバーを確認して…といった具合に、すべて次男の中でやるべきことが決まっているため、その順番を守れないと気分が崩れます

 

最近でこそ少しこのこだわりもゆるくなってきてはいるのですが、以前は家の玄関をうっかり私が開けてしまった(玄関は次男が開けるという暗黙の了解があった)というだけで暴れ狂っていた時期もありました。

 

一日の大まかな流れ(おやつは何を食べ、お風呂はどのタイミングで入るのか…など)もほぼ決まっています。

 

一回物事のやり方を理解してしまえばそれにきっちり従えるという「真面目さ」の現れかもしれませんが、急な予定変更などに対する融通がきかないところが問題です。

 

遠足や運動会などの行事が苦手になりますし、毎週決まった曜日にあるはずのテレビ番組が特番のためなかった場合などの時に気持ちを切り替えるのが難しくなってきます。

 

物事の流れを重視する傾向にある発達障害児の場合、いつもと違う突発的な出来事に対して対応するのが非常に苦手です。

 

 

これら以外にも、「音へのこだわり(音を感じ過ぎてしまい、耳をふさいで過ごすことが多いなど)」「感覚のこだわり(着れる服の素材が決まっている・過度の偏食など)」というものもあります。

 

 

こだわりは不安な気持ちの裏返し

 

物にしろ場所にしろ順序にしろ、それにこだわってしまう発達障害児の心理の裏には、物事の変化に対する不安な気持ちというのが隠れていると感じています。

 

物にこだわる場合は、その物自体が心の安心材料になっている可能性があります。

 

場所も順序も同じで、馴染みのある所を好み、いつもの手順を踏むことによって、変化に対する予防線を張っていると解釈することもできます。

 

発達障害児の場合、特に変化が怖いのだと思います。

 

私たちでもそうですが、状況が変わるということは、ワクワクもする反面不安もつきまといますよね。

 

ワクワクできるということは、その変化に対して楽しいことを想像できるからです。

 

ただ、不安を感じる場合というのは、その変化によって何が起こるかわからないという気持ちがあるからなんですよね。

 

発達障害児の場合は、この不安な気持ちの方が強く出てしまうのではないかと私は思っています。

 

なので、人に迷惑をかけないようなこだわりであれば、私は無理やりなくす必要はないように感じています。

 

毎朝同じルートを通らないと療育園に行けないというのも、私がちょっと大変という以外、特に問題になる行動ではないですし。

 

ただ、そのこだわりが社会生活を送る上で本人や周囲に不都合を起こしてしまう場合は、やはりなんらかの手立てをする必要があると思っています。

 

そのためには、私は「変化は怖いものではないんだよ」ということを教える必要があるのではないかと、個人的には感じています。

 

特性なので完全にこだわりをなくすということは難しいかもしれませんが、「それがダメでもこっちがあるよ」というような代替案を受け入れられる・自分で切り替えられるようになると、本人もずいぶんと生きやすくなると思うのです。

 

人生というのは、常に一本道ではない。

 

予想できないいろいろな事が起こり、それを自分で切り抜けていかないといけません。

 

次男には、時間がかかっても良いので、そういう力を少しずつ身につけてもらえれば…と思っています。

 

 

 

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