生活介護の現場実習で出会ったユリちゃんの話。

社会福祉士の資格取得に向けて、現在専門学校の通信課程を受講しています。

そのカリキュラムの中で「相談援助実習」というものがあり、高齢者や障害者などの福祉施設に180時間以上(24日以上)実習にいかなければいけないという決まりがあります。

※それまでの学歴や職歴で、この実習期間は免除になったり日数が変わったりします。

我が家には、自閉症スペクトラムの次男がいることもあり、私は障害福祉の分野に関心があったので、障害者支援施設を実習先として選びました。

障害者の就労支援や生活介護事業を行っている法人ですが、そこで出会った重度自閉症のユリちゃんとの出来事がいまだに頭から離れずにいます。

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生活介護事業の利用者

そもそも、生活介護事業とはどのようなものなのかご存知ない方もいるかと思います。

生活介護事業とは…

障害者支援施設などで、常に介護を必要とする方に対して、主に昼間において、入浴・排せつ・食事等の介護、調理・洗濯・掃除等の家事、生活等に関する相談・助言その他の必要な日常生活上の支援、創作的活動・生産活動の機会の提供のほか、身体機能や生活能力の向上のために必要な援助を行います。

引用:WAM NETより

いわゆる身体に障害のある方が、日中に必要な介護をされながらさまざまな活動を行う場です。

ただ、生活介護では身体に障害がなくても比較的程度の重い知的障害の方や自閉症の方も通所しています。

私が今回実習させていただいたのは、主に精神的な障害者の方が多い事業所でした。

重度自閉症のユリちゃんとの出会い

そこで出会ったユリちゃんという女性は、重度の自閉症でした。

意味のある発語はほぼなく、頻繁に独り言を言いながら部屋の中を歩き回るタイプで、癇癪を起こしたり暴れたりするような様子もなく、どちらかというと受動型の自閉症でした。

その独り言の内容も限定的でいつも…

ユリちゃん
○○ちゃんが…、家とか…

と言いに来る感じで、会話にはならない、でも何かを伝えたそうにはしている印象でした。

「筆談なら意思疎通ができるかもしれない」

そう思った私は翌日メモ帳を持参し、まずは私の名前を書いて身振りで自己紹介をしました。

ユリちゃん
おひとり…さん

そう言ってくれたユリちゃんの様子に…

ユリちゃんは理解は出来ていても思いを言葉で表せないだけかもしれない

と感じた私。

※後に、文字は読めても自ら書くことは難しいと判明しました

そんな中、職員さんがユリちゃんの驚くべき才能を教えてくれたのです。

ユリちゃんの驚くべき才能

「ユリちゃんには絶対音感があるんです」

そう教えてくれた職員さんに連れられ、ユリちゃんとピアノの部屋に向かいました。

ピアノに向かうなりすごい勢いで弾き始めたユリちゃんのピアノは驚く程上手で、ただずっと同じ曲ばかりを弾き続けていました。

その曲は過去のテレビCMで流れていた曲だったらしく、ユリちゃんはそれを一度聴いてからすぐにピアノで弾き始めたという逸話も教えてもらいました。

マジで鳥肌ものだわ…

と驚愕していた私。

しばらくユリちゃんと二人でピアノの部屋で過ごしていたのですが(ユリちゃん、ピアノエンドレス中)、その時に突然ユリちゃんが…

ユリちゃん
バカとか…

と私に言いました。

その後…

ユリちゃん
イヤとか…

???

と繰り返すユリちゃん。

私は意味が分からず、またいつも同じ独り言ばかりを繰り返していたユリちゃんの口から初めて聞く単語が飛び出てきたので、私はしばし考えを巡らせていました。

すると、今度はユリちゃんがピアノを弾きながら小さな声で歌い始めたのですが、その内容が…

ユリちゃん
おバカなユリちゃん…おバカなユリちゃん…おバカな…

と繰り返し音色に合わせて歌うのです。

それを聞いて、私はハッとしてしまいました。

私が感じたユリちゃんの心の中の思い

職員さん曰く「ユリちゃんは止めないといつも同じ曲ばかり弾いてしまうから」とおっしゃっていました。

以前、自閉症の東田直樹さんの著書を読んだ時に書かれていたのですが…

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「自閉症の方は、自分の身体が自分のもので無いようなコントロールできない感覚がある」

「何かに突き動かされるように行動してしまう」

というような内容を書かれていました。

ユリちゃんももしかしたら同じ曲を弾きたくて弾いている訳ではないかもしれない。

でも、そんなユリちゃんの様子をみた誰かが「ユリちゃんは同じ曲ばかり弾いていておバカさんだな」などと何気なく言ってしまったのかもしれない(←あくまで推測です)

そんな過去の記憶が蘇り、ユリちゃんは私に気を使って「おひとりさんは、私が同じ曲ばかりを弾いていてイヤではないですか?」「私の事をバカと思っていませんか?」と私に聞きたかったのが、「イヤとか…」「バカとか…」という表現で口から出てしまったのかもしれない。

「おバカなユリちゃん…」とピアノを弾きながら歌うユリちゃんの様子にそんな思いが頭の中を駆け巡っていた私は、「思いを上手く表出できない自閉症の辛さ」を肌で感じ、思わず涙が出そうになりました。

ピアノを弾き終えて…

休憩時間が終わり、ユリちゃんのピアノタイムも終わった後、驚く事にユリちゃんが…

ユリちゃん
言いたい事があります…

と私に話しかけてきました。

ユリちゃんがそれだけの長文を私に話してくれたのは初めてで…

なんですか?(ウキウキ)

と楽しみに話の内容を待っていたら…

ユリちゃん
○○ちゃんが…、家とか…

といつもの独り言を言い出したので…

何か言いたいのだろうけど…

と考えていたら…

ユリちゃん
ドラドラドラ…

と言い出しました。

「もしかしたらさっきのピアノの事かも!」と思った私は…

ピアノ、楽しかったですね!

と言ったところ、ユリちゃんはすごくニッコリしてまたいつものように部屋をウロウロ歩きだしました。

ユリちゃんとの出会いで感じた事

以上のユリちゃんとの出来事は、もちろん全て私の憶測です。

人の本当の気持ちなんて、本人以外に分からないものだと思います。

また、来たばかりの実習生の私なんかより、ユリちゃんのご家族や事業所の職員さんの方がよっぽどユリちゃんの特性についてはご存知だとも思っています。

でも、「おバカなユリちゃん」と自分で自分の事をそう言ってしまうユリちゃんの気持ちを推しはかると、あまりに悲しいものがありました。

言葉が上手く喋れないから。

会話ができないから。

だからこの人には理解力が無いと、目に見える表出方法だけで自閉症の人を判断するべきではない。

彼ら彼女らにも、私たちと同じように感じる力があって、人を思いやる気持ちもあるのだと思います。

自閉症という特性のせいで、人の何倍も傷ついて生きてきた可能性もあるユリちゃんのような人が多くの人に理解してもらえるように。

私に何ができるのか、すごく考えさせられた実習でした。

福岡市在住の主婦です。
毒親育ちが発達障害児を育てています。
2016年から ブログ始めました。
人間関係や子育てに関する日々の気づきを、独断と偏見まみれの記事で更新中。
ビュッフェと直売所に頻出します。

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コメント

  1. さちはな より:

    ご無沙汰しております。
    社会福祉士の資格取るお勉強されているなんて素晴らしいですね。

    10月末に就学相談の結果が来て、予想通り支援学校判定でした。判定に従うつもりだったんですが、療育園との面談で再相談を勧められ、来週再相談となりました。

    息子は情緒面に不安があるので、支援学校の方が安心だとは思いますが、お友達には興味があって真似しながら学ぶ事が得意なので、支援学級の方がやはり良いのかな?と思ったり、未だにどっちとも決められません。

    学校公開に息子を連れて行きましたが、息子は支援学級の方に行きたいそうです。何故、支援学級の方を気に入ったのかは分かりませんが。

    支援学校から支援学級へ変更するハードルがもっと低ければ、とりあえず支援学校に行ってから、と思えるんですが…
    息子さんは、その予定ですよね?変更したい時に教育委員会や校区の学校はちゃんと対応してくれるのか?など不安はないですか?

    • おひとり より:

      さちはな様

      ご無沙汰しております。
      やはり、積極的な表出のあるお子さんだと支援学校判定がでるんですねー。。。
      さちはな様のお子さんは、コメントを拝読する限りでは会話での意思表示もできているようですし、人への興味もあるようなので、個人的には支援学級で十分やっていけそうな気がするのですが。
      お子さんの「支援学級」という希望もありますし、なにより療育園からも再相談を勧められるくらいですから、総合的にみても支援学級への就学が良いのかもしれませんね。

      支援学校から支援学級への転校のハードルですが、時間はかかるものの出来なくはなさそうです。
      実際、我が家もそういう進路を希望している旨を支援学校側に伝えていますし、それに向けて学習面や社会性の面への取り組みを考えてもらっています。
      ただ、転校する時には年に1回ある就学相談会に参加しないといけないのと、就学相談を受けるかどうかの保護者の意思確認の時期が1学期にあるので、支援学校に入学して支援学級に転校する場合は早くても小学校3年くらいになるかもしれません。
      支援学級で確実についていけるくらいまで社会性・協調性を伸ばしてから転校になるそうなので、やはり年単位でみないといけないようです。

      実は、我が家の次男も先日療育手帳の更新があったのですが、ほぼ年相応まで伸びたため手帳が外れました。
      療育手帳がなくても支援学校にはこのまま居られるそうですが、この次男の成長も支援学校の環境と先生方の関わりがあったからこそと感じています。
      入学当初は支援学校に対して不安しかなかったのですが、実際次男の情緒面も落ちついてきていますし、勉強も個人のペースに合わせて進めてくださるので、学習面の進度も公立小学校のそれと大きく遅れていることもありません。
      支援学校の相談係の先生や療育手帳更新の際の検査担当者も、「環境が整って情緒面が落ちついてこないと知的な面も伸びない」と口を揃えておっしゃっていました。
      そういう意味では、(我が家の場合ですが)特別支援に理解のない校長がいる小学校の支援学級に通うよりかは、今の支援学校に通えたことが結果的に次男にとっても良かったのではないかと感じています。

      なので、さちはな様の場合は、校区の支援学級が保護者の要望をきちんと反映してくれるような場であれば、お子さんにも支援学級にいけるだけの力はあると思うので、絶対そちらが良いと思います。
      お子さんに合う環境というのは本当に大事だと思います。

  2. さちはな より:

    アドバイスありがとうございます。

    同じくらいの障害の程度でも、大人しく先生の言うことを聞く子は支援級判定出ていました。大人の都合ですよね、結局。

    校区の支援級は、特別素晴らしい支援という感じではありませんが、校長先生の感じでは暖かく見守っている感じでした。担任の先生は、100玉算盤やお金を使ったり、工夫をされているようでした。特別支援の研修を学校全体でしていたり、特別支援員さんを募集していたり、努力はされているみたいです。

    これも実際に通ってみないと分からないと思いますが…

    そういえば、うちの子は人見知りないどころか、積極的に大人に話しかけるくらいなのに、就学相談の先生は警戒していました。向こうのダメな子だねオーラを感じていたんでしょうか?再相談の時は、理解ある先生である事を祈ります。

  3. さちはな より:

    再相談に行ってきました。再相談の資料を元にまた会議をしてくれるのかと思っていましたが、校長面談での判断になるんですね。気が重いです。

    就学相談の時のクレームを事前に伝えておいたので、教育委員会の方からは謝罪がありましたが、当日の相談員の意見が判定に反映されたようで、今更謝罪されても時は戻せないですよね。療育園からの報告も身辺自立で一部介助と報告されていた部分があって、それは違うと当日の相談員さんに説明していたのに、判定委員会には伝わっていなかったみたいで、身辺自立が確立されていないと判断されていたようです。あとは、アンケートに支援学校と支援学級、どちらにも○を書いていたので、保護者の希望はどちらでも良いと思われたみたいです。就学相談当日は支援学級を考えています、と言ったのに相談員の圧迫面接に負けて、迷っているのを保護者の意向として終了してしまったのも悔やまれます。
    今日の相談員さんは、現在の状況だと支援学級でも大丈夫だと思います、と言われました。当日の相談員さんが違えば支援学校判定が出ていたはずだし、今にもなって判定を覆すために校長面談など神経を使う事もなかったし、就学先も決まり放課後デイ探しに集中出来ていたはずです。
    学習面で今出来る事をお話ししましたが、判定の材料には入らないみたいな事を言われました。つまり勉強がついていけるかどうかよりも、ちゃんとクラス運営に参加出来る事が重視されるみたいですね、やはり。
    今日の相談員さんからは、支援学級に行くなら、このような覚悟は出来ますか?みたいに何点か確認されましたが、お願いする身としてはひたすら大丈夫です、と言うしかなく、小学校に入るだけ、しかも支援学級なのに、何でこんなにお願いして入学許可を貰わなければいけないんだろう、と涙が出てきます。