「あ、間違えてた!」
先日、長男の同級生(Yちゃん)が我が家に遊びに来ていた時のこと。
一緒に宿題をしていたのですが、長男の漢字ノートを見たYちゃんが、きちんとマス目の中に字を書いていないことを長男に指摘しました。
Y「これ、なんではみ出してるのー?」
長「間違ったの忘れてたの!」
そう言うと、長男はすぐさまその間違いを訂正していたのですが…。
実は、今回Yちゃんが指摘した書き方は、以前私も長男に指摘していた部分でした。
「ちゃんと字はマス目にかかないと」と話していたのですが、「もー!いいの!」と私には反抗していた長男。
本人がそう言うなら…と、私はそれ以上追求はせずにいましたが(その後どうすべきかは長男自身が考えることだと思ったので)、長男はまさかの同級生(しかも女子)からの指摘にやや恥ずかしそうにしていました。
「子供と言えども、男は女の前でええカッコしたいもんなんだなー」と、ちょっと微笑ましくも思った私。
ただ、それとは別に、私自身が子供の頃は、今回の長男と同じような状況になった時には、必ず母親から人前で叱られ恥をかかされていた事を思い出しました。
私は自分自身が受けた経験から、親が人前で子供を叱ったり恥をかかせたりすることは絶対すべきでないという思いがあるのですが、外出先などでもたまにそのような親御さんは見かけます。
では、なぜ親は人前で子供を叱ったり恥をかかせたりしてしまうのか。そうすることで子供にどのような悪影響が出るかについて、今日は考えられる3つの理由と体験談をもとにお話していきたいと思います。
自分の正当性をアピールしたいだけの親
人前で子供を叱ることで「これだけしっかりと親やってます」という自己アピールをしたいだけの親も子供に恥をかかせます。
子供の言動をこき下ろすことで、自分の優位さを他人に見せつけたい親がこのタイプです。
たいてい自己顕示欲の強い場合が多く、「これをすると子供がどう思うか」という子供の感じ方の面まで気を配れていない場合がほとんどです。
私がかつて強烈にこの思いを感じたのが、主人と結婚する前の両家の顔合わせの時でした。
母はその時に私が履いて行っていた靴が気に食わなかったらしく、主人の両親含め皆が居る前で「なんでそんな靴、今日に限って履いてきたのよ!」と私に言いました。
この様子に主人の両親は面食らったと後で主人から聞きましたが(今思えば、良く結婚させてくれたなと思う 笑)、たとえ私が履いていった靴が両家の顔合わせの場にふさわしくないものだったとしても、それは人前でいうことではないと思うのです。
言われた方としては「恥をかかされた」という思いしか心に残りません。
なので、今回の長男とYちゃんのやり取りの場合でも、ここで私が長男に「だから、お母さんが前に言ったでしょ!ちゃんとマス目に字を書きなさいって!」と言ってしまえば、長男としては私からも恥を畳み掛けられて、思いのやり場をなくしてしまいます。
長男の中には、以前1度母親から字の書き方について指摘されていたという事実は認識しているわけで、自分の書き方が良くないということは理解しているのです。
ただ、それを最初に言われたのが母親だったので、甘えもあり反抗的な態度を取っていたと私には分かっていました。
そこに同級生からの再度の指摘で、字をきちんと書かないことが「恥ずかしいこと」だと学んだ長男。
人間は恥をかきながら生きていくものですが、それは不必要に親からかかされる恥と自分自身の言動が招いた結果での恥はまったく性質が違ってきます。
自分がやった事で自分が恥をかくのなら、それは自分自身の成長のきっかけになるものです。
私は、この長男とYちゃんのやりとりをしばし黙認しながら、長男に一言だけ「書き直したらいいよ」と言いました。
その日の長男の漢字の書き取りは、いつもより数倍丁寧に書かれていました(笑)
人として未熟なため感情のコントロールができない親
このタイプの親は、子供のせいで「自分が恥をかかされた」と思ってしまうのが原因です。
「子供が公園でよその子に砂を投げた」
「子供がお店の商品を潰した」
「子供が言うことをきかない」
などなど、たとえ子供に叱られるべき正当な理由があったとしても、こういう親の関心は自分にしかないため、子供の気持ちを考えず人前で叱り飛ばして恥をかかせてしまうのです。
「自分の躾が悪いと思われてしまう」という自己防衛の感情が強いので、子供がやってしまった事に対する怒りの感情の方が子供の言動の理由を考えることより上回ってしまいます。
このような親は気持ちにまかせて暴力を振るうケースも多いです。
子育て真っ最中で、子供のイヤイヤ期などを経験したことのある方なら子供にイラっとする気持ちは誰でも経験したことがあると思います。
私もそうですが、そのような場合はまずは親が気持ちを落ち着けることが大切なんですよね。
感情で子供を叱っても、子供にとっては叱られている理由が理解しにくいものです。
それが多数の第三者の前で…となると、子供には惨めな感情しか芽生えません。
「なぜそのようなことをしたのか」「どうしたいのか」を親は冷静に子供から聞いてあげないといけないと、私も常々思っています。
親も人間ですから、これがなかなか理想通りにはいけない難しさもありますが、親も大人になる努力をしなければいけない部分だと思っています。
子供の自立心を認めたくない親
これは、子供が自分なりに考えて行動した事が気に食わない親のケースです。
これも私の母親の話ですが、私の実家では毎年米を作っているので、田植えと稲刈りの年2回はそれらの手伝いに行っていました。(現在も行っています)
私は食事の準備をしておく係だったのですが、途中食事前に差し入れ(アイスかジュースかそんなものだったと思います)を持って行っても、母からは「そんなもん、今いらん!」と言われました。
他の人は受け取ってくれるのですが、母は私が気を利かして自分の判断でしたことが気に食わず、常々私の行動を否定することが多かったように思います。
それを皆の前で言うものですから、私としては立場がないわけです。
こういう親は、一般的に「子供は自分の支配物」という感情が強いのだと思います。
子供は親の言うことだけを聞いておけば満足で、子供が自発的なことをすること自体が気に入りません。
なので、子供がそのような行動をとった時には、皆の前で恥をかかせることで、子供を抑圧しようとするのだと思っています。
恥をかかされて育った子供は自尊心が育たない
私が思いつく親の心理を3つお話してきましたが、このような親のもとで子供は育つと、子供は自尊心が育まれず成長する可能性が高いです。
「自分なんて何をやってもダメ」
「人前で自分の意見を言うのが怖い」
など、内向的で消極的な人格が形成されると考えています。
自尊心とは「自分の能力を信じる心」です。
これは自分の人生を自分の足で歩んで行くためには、不可欠なものです。
逆境があっても自尊心がしっかり養われている子供であれば、何度でも起き上がれます。
小学校の学習参観などを見ていても、先生方はこの辺をしっかり理解して子供と接してくれているなーと感じる面が多々あります。
発表して間違った子がいても「ちゃんと自分で考えて発表できるのはえらいね」とフォローしていたのはさすがだと思いました。
結果がどうこうではなく、子供自身が考えた過程を評価しているのはすごく良いことですよね。
学校でも子供が大勢の前で恥をかかないような取り組みをしているのですから、親も子供に対してその点は意識して接すべきです。
恥をかかずに人は生きれませんが、「恥をかいても受け止めてくれる人がいる」という信頼関係を親子で築く事が子供の自立心を育てていくことに繋がると私は思っています。
福岡市在住。年の差3兄弟を育てています。
次男が知的境界域の自閉症スペクトラム(ASD)です。
発達障害のこと、子育てのこと、趣味のビュッフェ巡りや旅行について書いています。
社会福祉士です。
コメント
はじめまして
読んでいて私の事だな…と、子供達に対しての私の態度そのものでした…
恥ずかしい気持ちと、何より子供達に対して本当に申し訳ない気持ちでいっぱです。
カッ!っとなっても一呼吸置いて、
おひとりさんのこちらの記事を思い出して同じ事を繰りかえなさいようにします。
自尊心…今からでも持てますかね…
頑張りたいです。
ターミー様
ブログへのご訪問とコメント、ありがとうございました!
この記事は私自身への戒めの意味でも書いたものでして、
私もたまに読み返して、子供との接し方について考えるようにしています。
親も人間ですから、どうしても感情的になることもありますよね。
でも、「ちょっと怒りすぎたなー」など後で反省できるようなら
まだ大丈夫と思っています。
私もまだまだ子育て真っ最中で、今後子供たちがどのように育っていくか
経過観察中の身ではありますが、今できる最善のことをやっていこうと
思っています。
お互い頑張りましょうね♪
今日、人前で、思い切り子供を叱っていたら、知らないおばさんに「教養がない、子供がかわいそうだ」と怒鳴りぎみで言われました。
何で、あなたにそんなこと言われなきゃいけないの?と思いましたが、子供に人前で恥をかかした私。気づかなかった…
ダメなことはその場でダメと言わなければ、いけない(あとから言っても遅い)、と思っていたので…
私も、そのおばさんに人前で怒鳴られ、恥をかかされました。
子供も自分のせいだと、悲しそうにしていました。
やっぱり間違っていたのかな。
あっかりん様
ブログへのご訪問とコメントありがとうございました。
私もあっかりん様がおっしゃるように、子どもが良くない事をしたらその場で叱るのがベストだと思います。
人のいないところで後で…となると、子どもはその時の事は忘れているかもしれないですしね。
その際の叱り方というのが大切な気がします。
私の場合は母からわざと恥をかかされるような口調で叱られていた記憶があります。
母の場合は故意だったのでしょうが、例え親にとってそのようなつもりはなくとも、子どもの立場からすると他人がいる場所で、それも他人に気づかれるくらいの勢いで親から叱られるというのはやはり傷つくこともあるかもしれません。
なので、私は外で子どもを叱らなければならない時は、なるべく自分の感情を抑えて諭すようにその行動を注意するようにしています。
ただ、私も人間なので、感情的になることもあり反省する日もあります。
そうやって反省と学習の日々で親も成長していけば良いのではないかと思っています。
その知らないおばさんというもの教養がない方ですよね。
おそらくご自分の行為に自己陶酔されている感じがします。
ご自身の発言と行動が矛盾していることに気がついていないのでしょうね。
ですが、そんなあっかりん様を見て自責の念にかられているお子さんの様子から、とても心優しさを感じました。
子供への接し方というのに正解はないと思いますが、このように自分の母親を思いやれるお子さんに育っているということは、あっかりん様のお子さんへの接し方は決して間違ったものだとも言い難いと思いますよ。
私も同じくらいの年代の子どもを育てている真っ最中であまり偉そうなことは言えませんが、そのおばさんの言った事は癪には触るでしょうが、事故だと思って忘れて良いレベルだと思います。
私も同じような事を姑に言われた経験がありますので…^^;
お返事ありがとうございます。読んでいて涙が出ました。救われました。
本当にありがとうございます。
叱り方って大事なんだな~と改めて思い直したところです。
タイミングは逃さず、感情的にならず…心がけます!
今日のことがあって、子供のことをとてもいとおしく心から大切な存在だと思えました。
それに子育てしながら、親として逆に育ててもらっているんだな~と思いました。
おひとり様気づかせてくれてありがとうございました。感謝いたします!
あっかりん様
こちらこそあっかりん様のコメントのおかげで、改めて我が子との接し方を見直すきっかけになりました。
ご丁寧にお返事をしていただき、ありがとうございました。