自閉症スペクトラムの次男は、この春、福岡市にある特別支援学校に入学しました。
発達障害の特性に大きな凸凹があり、就学先を地域の小学校の特別支援学級にするか特別支援学校にするかで相当悩みました。
が、結果的に特別支援学校に通うことに。
事のいきさつは、私の愚痴Twitterからお察しください。
福岡市での再相談にて、保護者の希望が通らなかったアカウントはこちらです。#発達障害 #就学前相談 #特別支援学校に行く事になりました
— おひとり (@ohitorisyuhu) 2018年3月6日
正直、これだけ話し合って次男の情緒面を理由に校区の支援学級への入学を認めてもらえないなら、こちらの希望する条件で支援学校に通わせてもらった方が次男にとって幸せなんじゃないかと気づきました。教育委員会が支援学校に掛け合ってくれるそう。
— おひとり (@ohitorisyuhu) 2018年3月6日
できれば次男のような子を受け入れたくないと思っているような小学校に親がゴリ押しして行かせるメリットは、ほぼ無いよね。次男には今でも支援学級が知的レベルで見ても合っているとは思うけど、あの校長が君臨してる限り満足な支援・教育は受けられないと判断。
— おひとり (@ohitorisyuhu) 2018年3月6日
支援学級に数年後に転入する前提で支援学校に通うという内容で就学再相談は進んでるんだけど、そこにも少し疑問が出てきた。どちらの教育環境が良いのか、比較する項目が沢山ありすぎる。
— おひとり (@ohitorisyuhu) 2018年3月8日
と、こんな感じで療育園を卒園間近にようやく次男は就学先が決まったわけですが…。
入学をほぼほぼ想定していなかった特別支援学校。
いざ入学してみて、小学校とはさまざまな点で違いがありました。
就学前相談での再相談が長引いた我が家は、当然、特別支援学校の入学説明会にも参加しておらず、就学決定後に個別に入学説明をしていただいたり。
とにかく入学準備でバタバタした記憶があるので、特別支援学校と小学校の違いについてここにまとめておこうと思います。
主に、小学部での所持品や学校での過ごし方についての内容になっています。
所持品の実物写真を載せたかったのですが、学校や個人の特定につながりかねないため今回は掲載しておりません。私の拙い文章からご想像ください。
1.学校名自体の呼び名が違う
これは我が子の学校生活に直接どうこうという問題ではないのですが、特別支援学校では小学校という言い方をしません。
小学生が通うのは「小学部」、中学生が通うのが「中学部」、そして高校生が通うのが「高等部」という呼び名になります。
我が家は小学生の長男もいるので、書類や名札などに学校名を記入する時は、最初はこの「小学部」という言い方になかなか慣れることができませんでした。
2.バス通学になる
特別支援学校へは、基本学校専用のバスで通学します。
事情により保護者の送迎も認められており、その際は送迎にかかるガソリン代の実費を補助してもらえます。
通学バスのバス停は住んでいる場所により学校側から指定され、基本、保護者がバス停を選ぶことはできません。
が、保護者の仕事の都合など、事情によってはバス停の変更を認めてもらえるケースもあるようです。
バス停までは保護者が付きそう必要があります。
バスには、添乗員(外部委託された学校職員でない人)が2人ほど乗っていて、児童の様子を見守ってくれています。
3.校内着が必要
特別支援学校では、毎朝「校内着」に着替えます。
校内着というのは学校で過ごす時に着る服のことで、体操服とはまた別で毎日持参します。
特別支援学校に通う児童は、全体的に発達のゆっくりな子が多いため、校内着に着替えるのは着替えの練習も兼ねているようです。
校内着にする衣類については特に指定はないのですが、スウェットやトレーナーなど着やすい服なら何でもOKです。各自、家庭で用意します。
校内着には、名札サイズの専用のゼッケンを上下の服に付ける必要があります。
4.給食着を支給される
一般の小学校でも給食当番は給食エプロンをつけて配膳などをし、使ったエプロンは持ち帰って洗濯してまた持たせているかと思います。
特別支援学校でも「給食着」という給食エプロンと帽子のセットがあるのですが、これは入学時に1人につき2セット支給されます。
特別支援学校では、児童は給食中はこの給食着をつけて食事をすることになっており、これも校内着と同じく毎日持ち帰ります。
特性上、食べこぼし等が多い児童もいるため、食事中に衣類が汚れるのを防ぐ目的もあるのかな…と個人的には思っています。
5.おしぼりも毎日持参
給食着と一緒に、乾いたおしぼりをケースに入れて毎日持参します。
給食時に先生(または出来る子は自分でやっているかもしれません)がおしぼりを濡らして、それで手元や口元を拭いたりしているようです。
お箸を使える子は給食着袋におしぼりと一緒に入れて持っていきます。
6.ループ付きタオルも毎日持参
幼稚園や保育園で毎日持たせていたループ付きタオルですが、特別支援学校でも毎日持参する必要があります。
卒園したら「もう必要ないわね」と処分するご家庭も多いかもしれませんが、特別支援学校に通う予定のある方は入学までは念のため取っておいた方が良いかもです。
余談ですが、スモックも宿泊学習などで使う事があるらしいので、捨てずに取っておくと良いそう(ママ友談)
ちなみに、我が家はループ付きタオルは取ってましたが、スモックは早々に捨てました。
7.連絡帳を毎日持参
特別支援学校に入学すると「連絡帳」というA4サイズのファイルを渡されます。
■就寝・起床時間
■朝食・排便の有無
■当日の放課後等デイサービスの有無
■帰宅方法の確認(スクールバスかお迎えか…など)
■提出物の有無
■家での様子を記入する欄
などの項目があります。
ファイル自体はA4サイズですが、ファイルを入れる袋(お便りなども一緒に入れて持ち帰ります)がB4サイズくらいなので意外とかさばります。
8.歯ブラシ・コップは週初めに持参
特別支援学校では、給食後に歯磨きも行っています。
それに使う歯ブラシとコップは週初めに持参し、週末前の金曜日に持ち帰ります。
一般の小学校って、今は給食後の歯磨きはやってないですよねー(やってる地域もあるのかな?)
私が小学生だった数十年前は、小学校の手洗い場のところに歯ブラシスタンドがあって、みんな歯磨きをしてたような記憶があるのですが…。
9.通学カバンは基本リュック
小学生と言えばランドセルで登校というイメージがありますが、特別支援学校の児童の多くはリュックで通っています。
通学カバンの指定は特にないため、もちろんランドセルで通うこともできるのですが、上記に挙げてきたように校内着や給食着など、特別支援学校に通う子はとにかく荷物が多いです。
それら以外にも水筒などもカバンに入れて通学するため、多くの子は登山でもするような大きなリュックで通っています。
我が家の次男はダイワホーサン Dランドというメーカーの、リュックとランドセルの中間のようなカバンを買いました。
ランドセルより容量はありながら非常に軽く、でも見た目はランドセルに近いリュックです。安心の日本製。
見た目もかわいいのに機能的なので、特別支援学校小学部に通うお子さんにはおすすめしたいリュックになっています(中等部・高等部だともっと容量の大きなリュックが良いと思います)
10.時間割の違い
特別支援学校小学部では、国語や算数などの授業の時間がありません。
厳密に言えば、「自立活動」(学校により名称は変わるかもしれません)という時間に、個々に応じた内容の学習を行っています。
次男の場合は、その自立活動の時間にひらがなや数字のプリント学習をやっているようです。
お子さんによっては、絵カード合わせやひも通しなど指先を使う課題をやっていることもあります。
体育・音楽・図工などは1年生の入学当初からありますが、体育は学年全体での合同授業だったりもします。
11.教科書の違い
特別支援学校では、基本的に教科書を使った授業というのをしません。
先述したように、「学習時間が少ない」「個別に取り組む内容が異なる」という点から、一般的な小学校で使っている教科書というのは配布されません。
ですが、直接学校に確認したところ、特別支援学校用の教科書なるものが存在するらしく、それはどうやら配られているようです(持ち帰ってこないので実際のところはよく分からない)
12.宿題は要相談
一般の小学校に通っている子は、1年生の5月くらいから宿題が出始めると思います。
が、子どもにより学校で取り組んでいる内容に差がある特別支援学校の場合、宿題というのは基本ありません。
ですが、ひらがな・カタカナ・一部の漢字(曜日など)・数字・時計などは一通り読み書きできる次男の場合、私が担任にお願いして個別に宿題を出してもらっています。
ADHD傾向の強い次男の場合は、短い時間でパパっと終わる宿題の方が集中して取り組めるので、担任にもそのような意向を汲んでいただき配慮してもらっています。
その子に応じたスタイルで学習も進めてくれるのが、特別支援学校のメリットだと感じています。
13.入学後に進路アンケートがある
これは少し驚いたのですが、特別支援学校では小学部入学後すぐに進路にかんするアンケートがありました。
それもかなり具体的な内容になっており…
(我が子に対して)
■大人になった時の望む姿
■3年後に望む姿
■1年後に望む姿
などなど、これら以外にも結構細かく将来像や現状の困り感などの聞き取りをされました。
これはおそらく、将来どのような進路を希望するか(一般就労か福祉枠就労かなど)によって学校で取り組む内容や進学先が変わってくるためだと思われます。
アンケートはかなりの枚数がありました。
14.複数担任性で少人数クラス
特別支援学校は1クラスに児童が6~7人程度です。
そこに担任が2~3人ほどいます。
以前も書きましたが、公立小学校の特別支援学級は1クラス8人定員の担任が1人なので、それに比べると担任が多いことでの安心感はあります。
ただ、子供同士の交流という点ではどの程度関わりを持てているかは疑問が残る部分です。
15.家庭訪問の違い
一般の小学校では、5月頃に家庭訪問があるかと思います。
1家庭10分ほどで、先生によっては玄関先で話して終わりというパターンもあったりしますが…。
特別支援学校の家庭訪問では、担任全員がやってきて小一時間ほど話をします。
「お茶の用意ガー!」「お茶菓子ガー!」などと最初はテンパりましたが、担任の先生から学校での様子を聞いたり、就学相談を受けるかなど進路の話をしたりと、とても有意義に過ごせました。
また、一般の小学校には無い「個人面談」も学期末毎にあるようで、児童一人ひとりに対して非常に丁寧に向き合ってくれる印象を持ちました。
特別支援学校は何事にも丁寧
次男が特別支援学校の小学部に入学して1学期の半分が過ぎたくらいですが、私個人の一番の感想は…
個々に合わせた個別支援が徹底している
というものです。
連絡帳も枠からはみ出して裏紙を使うほど詳細に一日の様子を伝えてくれますし、進路に関しての不安を尋ねてもすぐに回答がもらえます。
もちろん担任により力量の差はあるでしょうが、複数担任性がそこを補っているようにも感じます。
特別支援学校に入学するまでは、知的ボーダーの次男にとって学習時間が少なくなってしまうのがすごく不利なことに感じられていたのですが、実際に特別支援学校に通わせ始めてからは、学習にかんしてはそれ程焦る必要はないのかな…と思えるようになりました。
それよりも、次男のように情緒面に問題のある子にとっては、本人にとって落ち着ける環境の中で社会性や協調性を身につけていった方が、結果的に全体的な成長につながるような気が今はしています。
実際、療育園年長児は園で大荒れだった次男ですが、多少のトラブルはありながらも、特別支援学校に通い出してからは少しずつ落ちついてきている様子を私も夫も感じています。
次男の成長の様子に応じて進路はいろいろ変わっていくかもしれませんが…。
今はしばらく特別支援学校と連携してお世話になっていこうと思っています。
福岡市在住。年の差3兄弟を育てています。
次男が知的境界域の自閉症スペクトラム(ASD)です。
発達障害のこと、子育てのこと、趣味のビュッフェ巡りや旅行について書いています。
社会福祉士です。
コメント
ご無沙汰しております。
息子さんの就学先が気になっておりました。ツイッターも拝見しましたが、校長の態度が酷過ぎますね。特別支援に全く理解がないんでしょうね。
うちの息子も年長になり、学校見学や発達検査や落ち着かない日々を送っています。支援学級の見学はまだですが、支援学校の見学には行って来ました。
支援学校は、1年生の授業内容なんて幼稚園ですか?とガッカリしますよね。
支援学校は障害の程度も重度からボーダーまで、知的レベルの差がとてつもなく大きいのに、カリキュラムは重度に合わされるという…勉強は個別に対応してくれるといっても、そもそも勉強時間が少な過ぎですよね。
先生方は、専門知識があるので安心出来るし、学校とのトラブルなどはなさそうなので、その点では良いんですけどね。
そういえば、この前発達検査をしたんですが、2歳代の課題からスタートされ、4歳代の課題で終わってしまい、5歳代の課題はして貰えませんでした。4歳代パスしてたら、5歳代の課題もしますよね?検査表見たら5歳代の課題で出来る事が沢山あったのに。2歳代の課題でも取りこぼしがあるとの事で、結局点数が低く出てしまいました。発達障害の子って、もっと出来るかも、とは考えて貰えないのかな?と悲しくなりました。家に帰ってから、図々しくこの辺もやって下さい、と言えば良かったと、後悔しきりです。発達障害があるとマイナス採点されがちだから、これ出来ます!と親もハッキリ言わないといけないなぁ、と思いました。
さちはな様
お久しぶりです。
就学前でいろいろとお忙しい時期ですよね。
そうなんです。支援学校の問題点は教育内容が生徒の多様性に追いついていないところなんですよね。
知的に重い子から次男のような発達凸凹児まで受け入れざるを得ない現在の状況で、支援学校のカリキュラムがそれに対応しきれておらず、どうしても知的な遅れのある子メインな内容になってしまっているんですよね。
我が家も就学相談を経験してきて感じたのは、今の義務教育というのはある程度平均的にできることが求められるので、発達凸凹児のような苦手と得意に差があり過ぎる場合は、苦手な部分を平均に追いつけるように持っていこうとしますよね。
なので、我が家の次男も年長当時(5歳)の検査結果では情緒面は2歳半レベルと言われ、認知などは6歳半と言われたものの、情緒面で判断された結果支援学校判定になったと感じています。
発達検査はいつもと違う環境でお子さん自身の力が本当に発揮できないケースも多々あるので、保護者への聞き取りなども考慮されると思いますよ。
本当はもっといろいろ理解していて、たくさんの事ができるのに、実際の検査でそこを検査者にわかってもらえないと親としてはモヤモヤしますよね。
繰り返しになりますが、発達障害児の得意を伸ばそうというよりかは苦手を平均に近づけようという日本の教育スタイルに問題があるような気がします。
次男のように「情緒が落ち着かないと支援学級は無理ですねー」と言われたのがまさにそれですよね。
私もそうでしたが、就学相談ではいろいろ思い悩むことも多いかと思います。
ぜひ、就学の可能性のある学校はしっかり見学されて(私は支援学級も支援学校も個別にお願いして数回ずつ見学・相談させてもらいました)、希望をしっかり伝えてみてくださいね。
我が家の場合、支援学級では玉砕してしまいましたが(笑)それも理解のある人が校長かどうかで随分対応も変わってくると思います。
校区の校長がどんな人かという運要素も強いのが就学問題でネックになってくる部分ではありますが、がんばってください!応援しています!
息子さんの場合、能力的には問題ないどころか優秀なくらいなのに、情緒面で学校が対応出来ないから、学ぶ機会を奪われるなんて、教育を受ける権利を侵害されていますよね。情緒面もご本人の問題というより、学校の問題だと思います。
日本の教育現場では何でも平均的に良い事が求められますよね。突出して得意な事があっても苦手な事の克服にパワーを注がないといけませんよね。挙げ句の果てには、勉強だけ出来てもダメという風潮…
発達検査をして思ったんですが、もともとの実力みたいなのも、もちろんですが後天的な学習も発達指数に影響するのでは?と思いました。例えば、うちの子はしまじろうや個別療育で数の取り組みをしていたので、数の理解が進んでいます。一方、折り紙やお絵描きは、もともと苦手な上に療育園では幼稚園のように製作をしたりはしないし、周りの子が作っている所を見る機会もないしで出来ないままになってしまっています。それを考えると、やはり認知や言語の能力を上げるには、日々の学習や経験が必要だと思いました。
そうは言っても、理解のない先生や校長の小学校の支援級は精神的に不安定になって、勉強どころではないでしょうしね。本当に悩ましい問題です。
アドバイス頂いたように、何回も見学に行って、どこが最適な場所なのかを見極めようと思います。