特別支援学校と特別支援学級はどう違う?発達障害児の就学に向けての勉強会に参加してきました。

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我が家の次男は現在4歳。自閉症スペクトラムと診断されています。

 

言葉の遅れがあり、強いこだわりや癇癪を特徴として持っているのですが、そんな次男は現在年中。

 

年少時代は私立幼稚園に1年間通い、現在は福岡市内にある療育園に通っています。

arrow47_004福岡市の療育園ってどのようなところ?費用は?私立幼稚園から転園させて分かったその実態をお話します。

 

一般的な幼稚園と比べ非常に手厚い対応をしてもらえるところに療育園の魅力を感じている日々ですが、先日その療育園で保護者向けの勉強会がありました。

 

前回はスイミングが与える運動効果についてでしたが、今回は年中・年長のお子さんをお持ちの保護者向けに「就学に向けて」というテーマで、福岡市の特別支援教育の現状についてお話がありました。

arrow47_004スイミングが発達障害児にもたらす良い効果には理由があった!療育学習会で学んだ事まとめ。

 

発達障害のあるお子さんの進路としては、その障害の程度により非常に幅広い選択肢があります。

 

特別支援学校や、一般の公立小学校内に設けられている特別支援学級、またはそれと併用して通う通級指導教室…などなど。

 

それゆえに保護者としては「我が子をどこに就学させるのがベストか」ということについて悩むもの。

 

そんな選択の基準を示してくれるような内容だった今回の勉強会で学んだことを、備忘録的にまとめておこうと思います。

※今回あげている学校・学級情報にかんしては、2016年6月現在のものです。

 

 

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特別支援教育とは何か

発達障害やその他障害を抱えた子供は、特別支援教育に基づいた就学をすることになります。

「特別支援教育」とは、障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うものです。 平成19年4月から、「特別支援教育」が学校教育法に位置づけられ、すべての学校において、障害のある幼児児童生徒の支援をさらに充実していくこととなりました。

出典:文部科学省HP より

つまり、何らかの特性のある児童については、個別に対応できるような教育の現場を設けており、それは現在もさらに拡充の方向へ進めていくと国も方針を打ち出しています。

 

障害の幅や程度というのも個人差があるものですし、肢体不自由なお子さんや、知能に何らかの障害を持つお子さん、精神的な不安定を抱えるお子さんなどさまざまです。

 

そのようなお子さんを一括りにして就学の現場に送り出すのではなく、個々の能力に応じた指導を行っていこうというのが特別支援教育の根本にあります。

 

このような現状から、特別支援教育というのは就学先が非常に細かく細分化されているのも特徴です。

 

主に「特別支援学校」「特別支援学級」「通級指導教室」の3つに大きく分けられますが、それらについて次から詳しくみていきます。

 

特別支援学校の特徴

特別支援学校とは下記のように定義されています。

特別支援学校(仮称)は、基本的には現在の盲・聾・養護学校の対象となっている5種類の障害種別(盲・聾・知的障害・肢体不自由・病弱)及びこれらの重複障害に対応した教育を行う学校制度とする

出典:文部科学省HP より

「仮称」となっていますが、現在では盲学校・聾学校などと呼ばれていた学校を総じて特別支援学校とし、障害の種別を超えた教育体制に重点をおいているようです。

 

実際、福岡市内では知的障害特別支援学校が6校(福岡中央・若久・東福岡・生の松原・屋形原・博多高等学園)あり、肢体不自由特別支援学校が2校(南福岡・今津)にあります。

 

特別支援学校の特徴としては…

 

■少人数の児童を複数の教員で指導
■学習内容や使う教材は個々に応じたものを配慮
■体の動かし方などの指導も有り

 

など、非常に手厚い内容になっています。

 

「少人数の指導」とは具体的に何人の教師が何人の児童に対応するのか質問してみたところ、およそ1人の教師に2人の児童ということでした。

 

発達障害児であっても特別支援学校の知的障害クラスに就学するお子さんも近年では増えてきているそうです。

 

学習面での個別サポートをしてくれるのも特別支援学校の特徴で、同じクラスであってもその子に応じた教材や教科書を使うので、一人ひとりが違う内容を学んでいることも多いそうです。

 

通常の小学校のように国語や算数などの授業も当然あり、ただそれらを1クラス一斉に同じようにするのではなく、個々の取り組みやすいペースで行ってくれるというのが最大の特徴だと思います。

 

ただ、特別支援学校では児童の「身辺自立」という点にも重点をおいた教育をしているため、身の回りのこと(排泄や着脱など)がまだ自分で上手にできないようなお子さんが優先的に通うのではないかと思います。(療育園の職員の話ではそのような口ぶりでした)

 

【2017.6.11 追記】
2017年度の就学関係の講習会では、特別支援学校にかんしては保護者の希望のみで入学することはできないというお話がありました。
年長の時点で「就学相談会」に参加し、教育委員会などさまざまな機関との面談や検査などを通して、特別支援学校の就学を勧められるものなのだそうです。
就学相談会の実態については、次男が受けた時点でまた新たに内容をまとめたいと思います。

 

また、特別支援教育では障害児の地域との交流の活性化も掲げているため、「ふくせき制度」という特別支援学校に在籍しながら居住地の小学校や中学校に副次的に籍を置くことができる制度もあります。

 

障害児というのは、多くが将来的にその地域に留まり生活していくため、地域とのつながりを重視しているからだといえます。

 

特別支援学級の特徴

特別支援学級は公立小学校内に設けられた、障害のある児童向けの特別クラスです。

 

「○○学級」などとクラス名が「1年1組」のようになっていないので、お子さんが小学校に通っている保護者の方ならすぐに区別がつくかと思います。

 

福岡市内の特別支援学級は障害の種類により多岐にわたるため、学習会で教えていただいたことを一覧表にまとめてみました。

 

名 称 学級数 該当小学校
知的障害特別支援学級

(校区内通学)

137校 市内公立小学校143校中
自閉症・情緒障害特別支援学級

(校区外通学可)

6クラス 香椎・長住・姪北・原・住吉・堅粕
肢体不自由特別支援学級 4クラス 当仁・西長住・下山門・城浜
弱視特別支援学級 1クラス 草ヶ江
病弱特別支援学級(院内学級) 5クラス 照葉・大楠・南片江・千代・野多目
難聴特別支援学級 1クラス 箱崎

 

病弱特別支援学級というのは、現在病気で長期入院中の児童が定期的に通う特別支援学級のことです。

 

それぞれに特徴があり、知的障害特別支援学級では特別支援学校同様に、個々のレベルに応じた学習指導を行ってくれます。

 

学年にとらわれずに対応してくれるので、1年生であってもその子の理解力によってはさらに上の学年の課題をやったりもするのだそう。

 

ただ、特別支援学校と違う点は、身辺自立ができている児童が対象な点です。

 

また、自閉症・情緒障害特別支援学級については、コミュニケーション能力や対人関係問題については細かく見てもらえるものの、学習面での個別サポートはしていないという特徴があります。

 

その他の特別支援学級にかんしても、特別支援学校よりも軽度と思われる障害を抱えた児童が通っているようです。

 

特別支援学級では1人の教員につき8人まで指導することができます。

 

長男が通っている小学校の特別支援教室がそうなのですが、そのようなクラスに在籍しているお子さんというのは、通常のクラスにも在籍していて、その子の特性に応じて通常クラスと特別支援学級を行ったりきたりしているようです。

 

例えば算数の時間は特別支援学級、給食や体育の時間には普通学級で一緒に取り組むといった具合です。

 

特別支援学級では小集団での指導と、通常クラスでの指導両方を行ってもらえるメリットは大きいと思います。

 

特に発達障害児にとっては集団で伸びる能力と個別対応が必要な部分とそれぞれありますし。

 

交流学習が容易にできるというのも、特別支援学級の良いところであると私は思っています。

通級指導教室の特徴

これは日常的には小学校の通常クラスに通いながら、補足的に個々の苦手とする部分の通級指導を行うクラスです。

 

福岡市には下記のような通級指導教室があります。

名 称 学級数 該当小学校
情緒障害通級指導教室 4クラス 堅粕・舞鶴・香椎・長住
LD・ADHD等通級指導教室 11クラス 香椎・長住・姪北・金山・原西

壱岐東・馬出・高木・若久

堤丘・賀茂

難聴・言語障害通級指導教室 3クラス 博多・当仁・壱岐東

これらのクラスは週1回程度、通常の小学校の授業とは別に指導を受けるものです。

 

ただ、昨今の福岡市ではこの通級希望者が非常に多いそうで、2015年度は希望者が221人のところ、待機(キャンセル待ち)が111人と、通うのも激戦な状態とのこと。

 

キャンセル待ちの児童が年度内に通える可能性も低く、そのような待機の児童には、別に2ヶ月間だけの短期の通級教室というものに通ってもらっているのだそうです。

 

実は我が家の長男も年長の頃に「ことばの教室」という通級教室に通っていました。

 

ことばの発達が若干遅かったというのと、知能検査などでは問題がなかったものの、お友達とのコミュニケーション面でやりとりに困難さが見えていた点から幼稚園の先生に相談し通い始めました。

 

小学校に入学してからも通級教室があるというのは聞いていましたが、実際入学した今、1年2年の担任のお話から「通常の学校生活で特に問題はなさそう」とのことでしたので、小学校での通級教室は希望しませんでした。

 

以前も記事にしましたが、長男はこのような特徴から幼稚園時代はいじめらしき事にもあったりしていたのですが、現在はそれなりに楽しく学校生活を送っているようです。

arrow47_004幼稚園から小学校低学年までのいじめを見抜くにはどうすべきか。その方法と対処法について。

 

何が言いたかったかというと、通級教室というのは小学校に通いだしてから担任を通じて申し込みをするものなので、気になるという方は入学後に担任を通じて情報をもらえれば良いかと思います。

 

 

親の希望より子供に合った就学先を選ぼう

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次男は現在まだ年中で、就学までには2年弱ある状態です。

 

今の段階でどこの就学先に行かせるかを決めるのは早すぎると思っているのですが、私は次男の就学先にかんしてはその時の次男の成長具合を見てから考えようと思っています。

 

希望としては長男が通っている小学校に一緒に通ってくれれば、登下校など長男も一緒で心強いと思う反面、これはあくまで私の希望なんですよね。

 

次男の発達の程度によっては特別支援学校が最適ということもありえるでしょうし、私は基本次男目線で就学先は選びたいと考えています。療育園の面談でも担任にそのように伝えました。

 

発達障害児が就学するまでにはさまざまな検査や審査をする必要があり、これはまたいつか記事にしたいと思っているのですが、療育機関や教育機関がさまざま関わった上で保護者との話し合いの結果就学先が決まります。

 

そのため、当然機関と保護者の意見・希望が食い違うということがあり、なかなか就学先が決まらない状態になるご家庭もあるそうですが、最終的には保護者の意見が尊重されるようです。

 

ただ、私は保護者の意見だけで就学先を決めてしまうのは少々危険な感じがすると考えています。

 

もちろん、子供の状態をもっとも良くわかっているのは保護者でしょうが、関係者の客観的な意見というのも正しい子供の姿だと思うのです。

 

一番良くないのは、子供に無理をさせるような就学先を選ぶことだと思います。

 

親の見栄や世間体で就学先を選ぶと、負担がくるのは子供自身です。

 

そのようなことを考えて、私は次男が就学する際には次男が無理なく通えるところを選ぶつもりです。

 

今後も私自身いろいろ勉強をして、次男のことをしっかり見守りながら就学に向けて進んで行こうと思っています。

 

 

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