「ひらがな書けない子って、入学したら劣等感味わうらしいよ」
特技「盗み聞き」のわたくし、先日もまた子ども達のスイミング中に聞こえてきたママさん同士の会話に興味津々でした。
どうやら今年度小学校にあがるお子さんをお持ちのママさんのようで、その話の内容によると、一人のママさんのお友達のお子さん(小学生)が、小学校入学前にひらがなの練習をしていなかったため、ほとんどの子がひらがなが書ける中肩身の狭い思いをしたんだそう。
その情報から「うちの子も練習させないと…」とママさんたちはおっしゃってましたが、私はそれを聞いて若干疑問が残りました。
小学校入学前にひらがなって本当に書ける必要があるのか、練習を始めるタイミングなどについていろいろ思うところがでてきたので、今日はそれらについて考えてみたことをまとめてみます。
ひらがなの練習は幼稚園によって取り組みに差がある
以前、幼稚園の選び方という記事でも書きましたが、一般的に私立幼稚園はお勉強や運動・音楽などに力を入れているところが多いので、ひらがなの練習も年長くらいからするところが多いです。
幼稚園は私立?公立?転勤でどちらも経験した私が両者を詳しく語ります。
ただ、私が実際子どもを通わせたとある私立幼稚園では、「一応ひらがなの練習はしますけど、強制はしません」とのお話でした。
ですが、園長先生曰く「親の方が(ひらがなの練習に)必死で困るところもあるんですよね」とぼやいていたのが印象的でした。
おそらく、保護者の方がひらがなの練習に神経質になって、でも自分ではなかなか上手く教えられずに幼稚園に丸なげしているのではないか…と園長先生の口ぶりから伺えました。
私立幼稚園も方針はさまざまなので一概には言えないところもありますが、このように子どもに無理強いしてまでひらがなの練習をさせる事はないようです。
また、公立幼稚園は遊びや情操教育を基本方針としているので、私が子どもを通わせたところでもひらがなの練習は一切ありませんでした。
ただ、公立幼稚園を卒園した長男がひらがなの練習に取り組みだしたのは、幼稚園の年中からでした。
これは長男がいた幼稚園の環境が大きく影響しているのですが、それについては次でお話します。
ひらがなの練習はいつから始めるのがベスト?
小学校の入学前説明会で言われたのは…
「ひらがなは特に練習しておく必要はありません。自分の名前が読めれば十分です」
という内容でした。
ひらがなの書き方は小学校でしっかり練習するというのが理由の一つで、また自分の名前が読めるようにしておくのは、自分の持ち物がどこにあるかを確認できるようにするためだそうです。
噂では、最近は小学校入学前にひらがなが書けるようになっている子が多いので、小学校ではひらがなの練習はそこそこにしかしないという話もあるそうですね。
ただ、少なくとも私の長男が通っている小学校(かなりのマンモス小学校です)でも、ひらがなに関しては1学期から大量の宿題とともにしっかり教えていただいています。
もしかしたら、「練習がそこそこ…」という噂も、我が子がなかなか字をキレイに書けるようにならないという思いからきているのかもしれませんが、小学校ではたしかに硬筆教室のように字を上手に書く練習まではしていないように思います。
「お手本を見て正しく書く」というのは実践しているようですが、我が家の長男はまだまだ相当字が汚いです(笑)
これは性格が出ているのか、男女差なのかわかりませんが、男の子のママさんで「うちの子、字が汚くて」と悩んでいる人は多いですね。
長男と同学年の女の子が遊びに来て、長男と一緒に宿題をしている様子を見ていても、同い年ながら彼女の字の丁寧さに驚いたものです。(個人差はあると思います。もちろん)
前置きが長くなりましたが、要は小学校でもひらがなの練習はきちんとやってくれるので、字を書く事に関しては本人も困らないはずですが、実際は4歳(年中)くらいから字の練習をさせるご家庭は多いようです。
それは通信教育などがちょうどそのくらいの月齢からひらがなのカリキュラムが始まるのと、親の間で「みんな年中くらいから字の練習をさせるらしい」という密かな認識があるからだと思います。
ですが、私はその時期がきたからと言って、子どもにひらがなの練習を強要するのはいかがなものかと思っています。
そもそも、本人が「字の練習をしたい!」と思わないことにはやってくれませんしね。
我が家の長男も、私がひらがなの練習にかんしてはそのような思いがあったため、年中になっても特に練習を始めたりはしませんでした。
ですが、年中くらいになるとすでにひらがなの練習をしている子が多く、一時期クラスで「お手紙ブーム」が始まったんですよね。
長男もひらがなが書ける子からお手紙をもらったものの、自分は字が読めないし書けない。
そこで自らお手紙を書きたい一心で「練習したい」と言い出し、私は100均の練習ノートをさせるようになりました。
ひらがなの練習をするタイミングは、月齢に関係なく、本人がやりたいと言い出した時で十分だと思います。
劣等感を感じた時は絶好の学びの機会
ひらがなを書けなくて劣等感を感じるということは、「悔しい」「自分も書けるようになりたい」「負けたくない」という気持ちの裏返しだと思うんです。
親はその意識を引き出してやると、劣等感は絶好のチャンスに変わると私は思っています。
そもそも劣等感を感じる事は良くない事なのでしょうか。
たしかに、我が子が他所で辛い思いや惨めな思いをしていると思うと、親としては悲しい気持ちになります。
私もいつも思うんですが、できるなら我が子には失望や逆境など傷つく事は生涯起こって欲しくない。
でも、それって不可能な事なんですよね。自分がそうでなかったように。
人間全ての人が、生きている間に嫌なことも良いことも経験します。
傷つく痛みを知ったからこそ人にも優しくなれるし、想像力も学べます。
こうやって成長できる時というのは、自分にとって不測の事態が起こった時なんですよね。
ひらがなが書けないということで味わった気持ちから、その子はきっといろいろな事を学べると思います。
そして、劣等感を感じたままで終わるのかどうかは親の声かけ次第だと思うのです。
「だーかーら、幼稚園から練習しとけばよかったじゃん!」と言うのか「みんなはちょっと早くから練習してただけ。今から練習しても書けるようになるから大丈夫」と言うのかで、子どもの中の劣等感の受け止め方はきっと違ってきます。
そういう意味でも、劣等感を感じるというのは決して悪いことではないと私は思っています。親のフォロー次第だと思うからです。
むしろ、劣等感を感じさせないためにという目的だけで、親が先回りしてひらがなの練習をさせる事の方が本来の字の練習の目的を見失っているような気がしてなりません。
ひらがなの練習というのは、本来自分が字を書いて読んで意味を理解するというだけのもので、人と競い合うようなものではないはずです。
子どもにはそれぞれのペースがあります。
本人がやりたいと思った時がそのタイミング。それを理解して、親は焦らず見守ってやりたいものですね。
福岡市在住。年の差3兄弟を育てています。
次男が知的境界域の自閉症スペクトラム(ASD)です。
発達障害のこと、子育てのこと、趣味のビュッフェ巡りや旅行について書いています。
社会福祉士です。
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