この度の熊本地震。
まだまだ避難生活を余儀なくされている方も10万人単位でいらっしゃるようで、その被害の大きさに驚くとともに、被災された方々の生活環境が一日でも早く整うよう祈るばかりです。
今回の地震は2度大きな揺れが襲ってきたというのが非常に特徴的でした。
私が住んでいる福岡市も14日の21時過ぎ頃と、16日の夜中1時半頃に2回激しく揺れました。
この2度の大きな揺れというのが、1度目の揺れで耐震力の弱ったところに大打撃を与えてしまった結果が現在の被害の大きさを生み出しているのですが、このような大きな震度であっても高層マンションの倒壊がなかったという点にかんしては、私は日本の建設技術の高さを感じました。
熊本市のあるマンションのように、エキスパンションジョイントが真っ二つに割れてしまった例などはありますが、あれがあったからこそマンションの倒壊を防げたと、先日のマンション理事会にて管理会社の方からお話を聞きました。
(私が住んでいるのはあの割れたマンション系列ではありませんが…)
そこで、現在マンションの理事長をしている身として、今回の熊本地震を経験し(実は東日本大震災も経験しています…)マンションの地震対策として管理組合にどのようなことができるのかを考えてみました。
「福岡に地震は来ない」と小さい頃から親や祖父母に言われて育った私ですが、九州でもこのような大地震に見舞われている現状。これから先、日本全国どこに住んでいても地震の被害にあう可能性はあると思っています。
マンション住まいの方の地震対策として、今回のお話が参考になればと思います。
新築マンションの耐久性
1981年6月の法改正により新耐震基準が設けられたことで、それ以降に建てられた住居にかんしては地震などにおける建物倒壊の割合がグッと低くなりました。
1982年以前は地震による軽微な被害(倒壊せずにヒビなどにとどまる状態)率というのが3割ほどしかなかったのが、それ以降は7割強にまで大幅に増えたというデータもあります。
新耐震基準とは「震度6強~7でも倒壊しない住宅」というコンセプトであるため、法改正後に建てられた住宅・マンションであれば倒壊の心配はしなくて良さそうです。
ですが、この新耐震基準も直近で複数回起こる大地震というのは想定していないそうで、今回の熊本地震のように2度の大きな地震がきた場合は、2度目で倒壊する可能性は出てくるようです。
基本、1度大きな地震が起こった後は、外見上問題はなさそうであっても、念のためその建物内に留まるのは控えるべきということでしょうね。
ただ、築年数の浅いマンションにおいては、「耐震構造」「制振構造」「免震構造」を備えている場合も多いので、マンションの管理会社に確認すればお住まいのマンションの耐震性について確認することができます。
参考ご自分のマンションの耐震性を確認したいマンションの管理組合の皆様へー国土交通省HP
とにかく、マンションにかんしては大地震が起こった場合でも建物自体の倒壊は防げる可能性が高く、その点にかんしては戸建よりも心配する必要はないように感じます。
それよりも、マンションの地震対策としては地震後のライフラインが途絶えた状態でどのように過ごすかという避難生活に重点をおいた対策を立てることがより重要と考えられます。
防災グッズはいざという時に持ち出せない?
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今回の熊本地震の2度の大きな揺れは、共に夜の時間帯でした。
1度目は21時過ぎという子供たちを寝かしつけるような時間帯。
2度目は夜中の1時半頃という、完全に家族が寝静まった状態の時でした。
福岡市ではどちらも震度5程度でしたが、この揺れを経験して思ったのが…
「防災グッズなんて持ち出せる状態ではない」
ということでした。
ネットなどでも…
■熊本(九州)は地震が来ないと思って防災対策を怠っていたのではないか
■東日本大震災が起こった時もどこか他人事だったのだろう
■大地震の教訓が全く生かされていない
など心無い書き込みが見受けられましたが、あの時間帯のあの揺れで正直防災グッズ持って避難できた方がどれほどいたでしょうか。
確かに、九州はこれまで大きな地震に見舞われた経験が少なく(西方沖地震などもありましたが)、地震にたいしてどこか楽観的に捉えている人が少なくないという印象も私自身受ける時があります。
ですが、緊急地震速報がスマホから鳴ってものの数秒でやってきた大きな揺れを前に、これがどれほどの地震でどのように行動すべきかを咄嗟に判断できる人はなかなかいないと思います。
あっという間に家屋が倒壊してしまった方などは尚更でしょう。
私自身、1度目の地震では、怯える長男をテーブル下に匿い、呆然とする次男を抱きかかえてその場にうずくまるのが精一杯でした。
このように考えると、防災グッズというのは地震がある程度収まってから安全に取りにいける場所に保管しておくべき物だと思います。
戸建であれば倒壊の可能性があるため、庭に物置などを設けてその中に置いておく。
マンションであれば、玄関近くの物入れに置いておくなどすべきでしょう。
車の中などでも良いかもしれません。
マンション管理組合は個人で揃えるのが難しい物を備蓄
このように、マンション住まいの場合は地震に見舞われた場合であっても、建物が今すぐ倒壊する可能性というのは一般的に低くなるため、震災後の備蓄は各自で準備したものを使用できると考えられます。
水や食料にかんしては最低3日分×家族の人数を用意しておけば良いそうです。
水にかんしては1人×3L×3日分。これが家族の人数分必要になります。
このように25年も保存可能な長期保存食もありますので、1度買って備えておけば賞味期限を気にすることなく安心です。
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ただ、このように飲食物を準備万端にしていても震災後の断水などでもっとも困るのがトイレ事情。
家に入れる状態であれば、トイレが流れなくとも簡易トイレを設置することで対応はできます。
このような専用グッズを買わなくとも、45Lのゴミ袋に丸めた新聞紙を入れてトイレに設置することでも簡易トイレとしての機能は果たしてくれます。
ですが、万が一マンションへの被害が大きく立ち入れないとなった場合、管理組合としては個人で用意できない「仮設トイレ」や「トイレテント」などは準備しておくべきでしょう。
更地で用はたせないので、トイレ用のテントも必要です。
他にもマンション管理組合が備えておくべき物としては…
■住民名簿(安否確認の時に必要)
■安否確認カード
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■発電機・投光器
■大型懐中電灯
■ヘルメット・拡声器
■暖房器具(ストーブなど)
■避難所(タープやテントなど)
■ブルーシート …など
マンションの場合、日用品などは各家庭で準備しているものが利用できるため、いざという時は各家庭から持ち寄ることは可能です。
管理組合としては、各家庭で保管が難しいような大型用品について備えるようにし、どのようなものが必要かについては住民間で話し合って決めるようにしたいものです。
管理組合は住人の避難生活を想定した準備を
震災が起こった場合にマンションの管理組合として考えなければならないことは、ライフラインが止まった場合の住人の生活をどのように維持するかということです。
家庭によっては高齢者や乳幼児がいたりと、想定すべき避難生活はそれぞれ異なるものです。
そのため、震災が起こった場合の最低限の備えは各家庭の必要に応じて整えてもらうようにし、管理組合としては避難生活の場所の確保やライフライン復旧までどのように乗り切るかに焦点を絞って地震対策をすべきです。
実際、東日本大震災の時も、マンション住まいの人というのは指定避難所の使用を断られたりもしています。
マンション共用部での住人同士の共同生活を余儀なくされる可能性も出てくるので、そのような生活を想定した場合にどのような困り事が出てくるかなどを予想して備蓄用品を揃えると良いのかもしれません。
地震はいつどのような時間帯に起こるか誰にもわかりません。
さまざまな可能性を考えて、マンション総会などでなるべく多くの住民からの意見を取り入れ、安全対策を進めていくようにしたいですね。
福岡市在住。年の差3兄弟を育てています。
次男が知的境界域の自閉症スペクトラム(ASD)です。
発達障害のこと、子育てのこと、趣味のビュッフェ巡りや旅行について書いています。
社会福祉士です。
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