「いたきまーす!」
次男が食べ始める時に言う、この「いたきます」という言葉。
「いただきます」のことなのですが、次男は現在5歳の自閉症スペクトラム児、非常に言い間違い(覚え間違い)が多いです。
もともと言葉らしきものが出だしたのも2歳前後ということもあって、次男の言葉は非常にのんびりと成長しているような状態です。
次男の発達障害(自閉症スペクトラム)が判明するまで【2】:1~2歳までの成長記録まとめ
長男も次男ほどではないものの、言葉の発達はゆっくりな方でした。
言い間違いもそこそこあり、私としては…
「ちゃんと言葉が話せるようになるのかしら…」
と幼少期は本気で心配し、長男の幼稚園時代は自治体が運営する「ことばの教室」なるものに通っていた時期もありました。
子どもの言い間違い、かわいくもあるのですけどね。
ただ、あまりに言い間違いが多いと、親としては…
「何か発達に問題があるのではないのかしら…」
と不安になるものですよね。
ですが、次男の発語について療育園の学習会で学んだり相談したりするうちに、幼少期の言い間違いについてはそれほど心配する必要はないことが分かりました。
そこで今回は、子どもの言い間違いの原因や対処法について学んだことや、私の経験談をお話しようと思います。
我が家の兄弟の言い間違い語録
言い間違いがもっとも多くなる時期は、言葉を覚え出して語彙が増えてくる2~4歳代ではないかと思います。
2歳頃の次男はそもそも発語自体がほとんどない時期でしたので、言い間違いもなにもあったものではなかったのですが、長男にかんしてはこの頃から小学2年生になる現在まで長い間ことばの言い間違いが続いていました。(現在もまだ少しあります…)
長男の言い間違い語録
■(正)とうもろこし→(誤)とうもころし
これは言い間違いのてっぱんフレーズかもしれませんね。トトロに出てくるメイちゃんも言ってました。
この「とうもころし」は長男の場合、今でもたまに言い間違えています。
もういい加減正しく言おうよ!と思うのですが、長男はどうやら国語力が弱いらしい…。
学校の宿題などをみていても、国語の読解問題などが苦手なようです。
ことばの発達がゆっくりだったのも、こういう言語面の理解の苦手さがあったからかも…と思っています。
■(正)子ども→(誤)子ろも
これは長男が幼児期によく言っていました。
濁音の発音が苦手だったものと思われます。
■(正)ラリホー→(誤)リラホー
ドラクエをするようになった頃だったので、これも小学校にあがってからの言い間違いですが、これはどちらかというと覚え間違いの類ですね。
ラリホーとはドラゴンクエストというゲーム内で使用する呪文のひとつです。
文字の読み書きができるようになってからも、長男はこのように度々ことばを誤って覚えていることがありました。
ことばを落ち着いて読めていない証拠だと思われます。
■(正)きよしこの夜→(誤)きこしこの夜
これもついこの間聞いた言い間違い(覚え間違い)です。
一文字変わると放送禁止用語にもなってしまいそうな危ない雰囲気漂う言い間違いですが、これもことばを正しく読み理解するということができていない、長男の落ち着きのなさがよく現れている一例だと思います。
次男の言い間違い語録
■(正)とうもろこし→(誤)ともころうし
言い間違い殿堂入りのとうもろこし、次男もやはり言い間違っておりました。
ただ、長男の「とうもころし」よりもやや複雑な印象です。
そんな次男の間違いを長男は笑いながら「次男くん、『とうもころし』の事『ともころうし』って書いてるよ。あはは」と言っていた長男。
それを聞いた私はドリフばりにズッコケそうになりましたが、我が家の兄弟はどうやらとことん言語面が弱いようです。
※写真では「さつまいも」も「さずまいも」と書いていました…。
■(正)エレベーター→(誤)エベリーター/(正)テレビ→(誤)テベリ
何かの規則性を感じる言い間違い語録ですが、これらはいまだに次男が使っている単語達です。
このような言い間違いをしているお子さん、結構よそでも見かけるような気がします。
■(正)アイス「から」食べる→(誤)アイス「かっから」食べる
「~からする」などのことばを使う時、次男は4歳代はよく「~かっからする」という言い方をしていました。
この「かっから」がかわいくて、私は必要以上に次男に「どっちからしたい?」などと質問していた覚えがあります。
言い間違いがおこる原因
子どもの頃によくおこるこのような言い間違いは、何が原因なのでしょうか。
療育園の医師に確認したところ、主に2つの原因があることが分かりました。
1.ことばを正確に聞き取る力が弱い
子どもの頃は、大人が発していることばを正確に聞き取る能力というのがまだ発達段階なのだそうです。
そのため、ことばを正しく聞いて発音するということが難しいのだそう。
特に発達障害児の場合は、人に対して関心のない子というのが多くいます。
興味の対象がある特定の物だけだったり、人と目線を合わせられなかったり…。
そのような特性のある子どもの場合は特に、意識が外(人)へと向かっていないため、ことばを聞いて自分の中に取り込むということが苦手になってくるのだそうです。
ことばというのは模倣から始まるものなので、発達障害児の多くはことばの発達がゆっくりだったり、言い間違いが多かったりする原因はその特性にあるとのことでした。
ただ、言い間違いや覚え間違い自体は定型発達児にもみられることなので、それがあるからといって必ずしも発達に問題があるとは言えないので注意が必要です。
2.舌の運動機能の未熟さ
子どもの場合、舌の運動機能の問題で言い間違いが多くなっていることもあります。
先に紹介した次男の「いただきます」が「いたきます」になるような場合です。
「だ」という文字が欠落した言い間違いですが、これは「だ」という発音が子どもには難しいという理由が考えられます。
「だ」という発音自体はできても、「ただ」と続けて言うのが難しい場合もあります。
子どもの舌の動きというのは大人のそれほどなめらかではないため、サ行・ラ行・濁音などは舌の機能的に発音が難しい音になるのです。
「テレビ」が「テベリ」になるのも、「レ」という発音が難しいため、「べ」になっている可能性も考えられます。
子どもの場合は、ことばを覚え間違っている故の言い間違いと、ことばを発する上での難しさによる言い間違いの2種類があると考えられます。
言い間違いにはどう対処すべきか
そのような子どもの言い間違いに親が気づいた時、ついつい「このままじゃ間違って覚えちゃう」と言い間違いを正してしまいそうになるかもしれません。
(子)おかあさん、テベリみたい!
(母)「テベリ」じゃなくて「テ・レ・ビ」でしょ!
たしかに正しいことばを子どもに教えることも大切なのですが、その子にとっては今現在そうとしか言えないことばを親が常に指摘し正そうとすることは、子どもにとってストレスになる可能性もあります。
舌の機能面の問題で、子どもには発音の難しいことばというのも存在するわけです。
それを親が矯正しようとし過ぎるのは、子どもにとってことばで人とコミュニケーションをとること自体を苦痛にさせる原因になるかもしれません。
療育園でも言語聴覚士さんから教えてもらったのですが、言葉が育つためには、まずは子どもに人と関わりたいという思いを持たせることが必要なのだとのこと。
発達障害児の癇癪や言葉の遅れにつながる間違ったコミュニケーション例2つ。ST学習会に参加して学んだ事。
なので、私は次男が言い間違いをしている時でも、その間違いを指摘はせずに、後で正しいことばを繰り返して返答するように心がけています。
(次男)アイスかっから食べる~!
(私)アイスから食べようか。
「かっから」が聞きたくて誘導している癖に何言うかという感じかもしれませんが(笑)、こういうやり取りを繰り返していたからか、次男は現在きちんと「アイスから食べる」と言えるようになりました(「かっから」聞けなくなってちょっと寂しくもある…)
では、長男のようにそもそもことばを覚え間違っている場合の言い間違いはどう対処すべきなのか。
それは私の経験から、「文字の読み書き」が解決のキーワードになっていると感じています。
文字を覚えると言い間違いも減ってくる
長男の場合、言い間違いが単なる発音の問題ではなく、完全にことばを覚え間違っていると気づいたのが文字を書けるようになってからでした。
小学校の宿題の作文や日記などで、出てくる出てくることばの覚え間違い…。
ことばでは正しく言える「バスケット」なども、文字として書くと「バッスケット」となっていたりで、それはもうツッコミどころ満載でした。
※これは、話し言葉は正しいのだけど書き言葉を正しく書けないというパターンで、言い間違いや覚え間違いとは若干ニュアンスが異なる問題かもしれません。
長男くらい普段の会話がスムーズにできるようになっていれば、口頭で言い間違いを指摘することもできるのですが、子どもが書いた文章を親が添削するというのも言い間違い(覚え間違い)には非常に効果がありました。
普段は耳から入ってくる会話でしか理解できなかったことばも、紙に文字として書いて視覚的に理解できるようになると、自分のことばのどこが間違っていたのかがわかりやすくなります。
冬休みの間はその日一日の出来事を長男に日記として書いてもらって、私が添削するという取り組みをしたところ、長男がどのようなことばでつまづいているのかが私にとってもわかりやすかったので、とても良かったです。
次男も文字が書けるようになってきたので、次男のことばの言い間違いもこのやり方を取り入れてみようかと考えています。
まとめ
子どもの言い間違いは過度に心配しすぎる必要はありません。
月齢的な舌の機能の問題が原因であったり、ことばの正しいインプットができていない結果だったりと、一過性なものがほとんどです。
ただ、吃音(ことばがどもったり等の症状。『きつおん』と読みます)があったり、ある特定の発音に問題がある状態が成長しても続くようであれば、専門家にかかることは必要です。
長男が通っていたことばの教室でも、サ行の発音が苦手なお子さんなどが舌の使い方の練習に通っていました。
そして、大事なのは言い間違いを必要以上に指摘しすぎないことです。
大切なのは子どもとのコミュニケーションをはかる方で、少しくらいの言い間違いであれば、大人が意図を汲み取ってあげて、会話を成立させる方が子どものことばの成長には有益だと思っています。
子どもの成長段階に応じた対応で、ことばのやり取りを楽しんでいければと思っています。
(長男の場合はそろそろ「とうもころし」は本気で心配しています…)
福岡市在住。年の差3兄弟を育てています。
次男が知的境界域の自閉症スペクトラム(ASD)です。
発達障害のこと、子育てのこと、趣味のビュッフェ巡りや旅行について書いています。
社会福祉士です。
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