「スイミング 見守る母は 盗み聞き」
子どもの習い事見守り中に聞こえてくるママさん達の会話はネタの宝庫だな、とつくづく感じているおひとりです。
学校や幼稚園などでの行事のことや、先生の評価、噂話。
夫の愚痴や子どもの生活態度など、ママ友達は話題に事欠くことなく、ひたすらおしゃべりに夢中です。
女は喋ることが一番のストレス発散になるという人が多いのかもしれませんね。
過去に自宅にこもりすぎて声が出るかひとりで確認した経験のある私からすると、そんなマシンガントークのママさん達の様子をみていると「ちょっと休んだら?」とお茶を差し入れたくなるレベルです。(だいたいそういうママさんは、ほぼ飲み物持参 笑)
ただ、子どもの習い事でのママさん達の会話というのは、やはりその習い事に関しての話題が多いように感じます。
「Aちゃん、クロールできるようになってない?!」
「Bくん、ドリブル両手でできるようになってるじゃん!」
我が家の子ども達の習い事が水泳とバスケなので、このような会話をよく耳にするのですが、ママ友というのは我が子のみならずよその子の上達具合にも非常に敏感。
ただですね、このような会話を(盗み)聞いていて思うのが、そういう会話をしている人の発言の中に「嫉妬」が感じられる時があるということです。
表情や声のトーンなどで、「このママさん、本心では相手を妬ましく思ってそう…」と感じながら聞こえてくる会話に耳を傾けています。
では、なぜママ友の中には子どもの習い事で嫉妬してしまう人が出てくるのか。
私がこれまで各地で(盗み)聞いてきたママ友の会話から、子どもの習い事で嫉妬するママには3つの特徴があると感じました。
今日はそんなお話です。
1.我が子への過剰な期待
子どもの習い事に親の方が入れ込みすぎて、我が子に対して過剰な期待をしてしまうママさんが嫉妬しやすい傾向にあるようです。
「トップになって欲しい」
「試合で優勝して欲しい」
子どもを習い事に通わせている親というのは、そこでの子どもの技術の上達を願うものです。
できなかったことができるようになると嬉しいですし、集団競技であればチーム内で活躍してくれると親も応援のしがいがあるというもの。
ですが、その親の思いが、我が子の特性や実力をしっかり把握できないまま続いてしまうと、習い事が母子共に不幸にしてしまう場になりかねません。
「もっとできるはずでしょ」
「練習が足りないからよ」
子どもとしては実はその習い事があまり好きではないのだけど、親の気迫に本心が言えずに渋々続けてしまう。
子どもには合わない習い事なのでなかなか上達はしないし、そんな状況に親もイライラしてしまうという悪循環が生まれます。
その結果、そういう親がよそのママ友の子に…
「あの子、なんであんなに上達が早いのかしら」
「なにか特別なことしてるんじゃないの?」
「うちの子だって相当練習がんばってるのに…」
などと、嫉妬心を抱きやすくなってしまいます。
このタイプの親は、自分自身がその習い事の経験者という場合が多いです。
自分が叶わなかった夢を我が子で実現させようという自己投影型の親だといえますが、このタイプの親はこちらの接し方次第で悪意の嫉妬を向けられる可能性があるので注意が必要です。(後述します)
2.焦りが強い
上記の教育ママタイプとも関連してくるのですが、何事に対しても焦りがちなママさんも嫉妬を抱きやすいように感じます。
一般常識と思われる事柄にとらわれやすいのがこのタイプです。
「もう伏し浮きくらいはできても良い年頃なのに…」
「そろそろドリブルくらいはちゃんとつけるはずなのに…」
子育てを実際していてよく思うのですが、子どもの成長スピードというのは本当に個人差が大きいです。
私も長男を出産してすぐの時は、育児にかんして右も左もわからない状態で、とにかく育児書やネットなどで情報収集をしては一喜一憂していました。
ですが、子どもというのはそういうマニュアルどおりには絶対育たないんです。
子ども自身が持っている個性というものがあるので、得意不得意が必ずあります。
自分に当てはめて考えると、これはよくわかります。
私は文章を読んだり書いたりするのが好きで、その行間から筆者の思いだったり背景を推測するのも得意です。
ただ、数字が絡んでくることだったり、物の容量(残ったおかずがどの容器だと入るのか)などを考えるのが苦手です。
主人が私とはまったく逆で、国語関係は得意でないものの、計算だったり物の大小の感覚だったりというのはかなり得意です。
こんな風に自分の中にも得意なことと苦手なことがあるのですから、子どもにもそれはあって当然なのですが、意外なことに親になるとそこを見落としてしまう人も多いんですよね。
これは「我が子をちゃんと育てなくちゃ」「ちゃんと育っているのかしら」という責任感の強さの表れでもあるのかもしれませんが…
「他のお友達ができていることだから、この子もできるはず」
こういう思いが強すぎる親は、習い事でなかなか上達しない我が子の様子に焦りが募り、それが次第に他の子に対しての嫉妬心に変わっていきます。
あまり周りに振り回されず、しっかり我が子と向き合うようにすれば防げる嫉妬だと思っています。
3.ママ友へのライバル心
このタイプのママさんは、子ども云々というよりも、自分自身のプライドのために子どもの習い事で嫉妬します。
ママ友の子より自分の子の方が出来が悪いと、ママ友に負けたような気がするのが典型例です。
自己顕示欲が強く、SNSなどでリア充アピールに余念がないママさんというのに多いですね。
子どもの評価は自分の評価と捉えているところがあるので、我が子の上達が悪いと子どもを責めたりもします。
ただ、このタイプのママさんというのは子どもの上達を願っているようで、実際はママ友への対抗心がほとんどだったりするのが厄介なところです。
ここでも子どもの思いというのをおろそかにしがちになるのが、注意すべきポイントだと思います。
嫉妬はなぜするのか
嫉妬というのはひとりではできません。
必ず比較する相手(対象物)が必要です。
人には誰しもいろいろな自己実現の思いがあると思います。
「綺麗になりたい」
「お金持ちになりたい」
「資格をとりたい」
これらは人が生きていく上でモチベーションにもなるもので、こういう思いを持っていること自体は否定されるべきことではありません。
が、この思いがいくら願っても満たされず、そんな時にそれを持っている人(実現した人)と出会ってしまうと、人はその相手に対して嫉妬の感情を持つことがあります。
「いいなー」「羨ましいなー」
嫉妬の感情というのは誰しも出てくるもので、もちろん私もそう感じた経験はあります。
ただ、大事なのはそれを表に出すか出さないかだと思うのですよね。
人はみなそれぞれ違う境遇のなかで生きていて、持ち合わせた能力というのも違っています。
すぐに習得できる分野もあれば、何年かかっても芽が出ないものもあります。運もある。
それが分かっている人であれば、例え誰かに嫉妬の感情を抱いたとしても「自分は自分」と割り切れるものですが、中にはそうは思えない人もいます。
嫉妬をこじらせた結果…
「なんであの人ばっかり?!」
「ずるいよね」
などと負の感情の方が強く出てしまうんですよね。
そうなると、相手に対してどうにか自分と同等にまで引きずり下ろしたいなどという感情が働き、常識では考えられない行動に出ることもあります。
ママ友間でのいじめなどがそうです。
グループLINEから外された、我が子が仲間はずれにされだした…など、じわりじわりと周囲から嫉妬の対象人物を追い詰めるようなことを始めます。
こういう話を聞くたびに私はいつも思うのですが、みなさんもっと人の多様性というものを認めるべきだと思うのです。
ママ友カーストなどもそうですが、女は特に「仲間同士は同等でなければならない」という暗黙のルールがあるような気がしてなりません。
そこからちょっとでも外れた人がいれば、すぐに一斉集中攻撃が始まる。
でもね、そもそもみんな同じなんて世界、ありえないんですよ。
子どもが一緒に習い事を始めたら、どの子も同じスピードでなんて上達するわけがないんです。
人それぞれ個性があり、自分と違う何かを持っていて、だからこそ付き合っていて面白いのです。
「いろんな人がいて、いいじゃない」
そう思えると、誰かへの嫉妬の感情も気づかない間に自分の心の中で自然消滅していると思います。
卑下しすぎるのも嫉妬を駆り立てる原因に
ただ、そんな嫉妬の感情も、こちらの対応次第で防げる方法があります。
それは「むやみに自分を卑下しすぎないこと」です。
自慢をすると嫉妬されやすいというのはわかりやすい構造なのですが、ではなぜ卑下のしすぎが良くないのでしょうか。
子どもの習い事で嫉妬しやすいママさんというのは、総じてよその子どもの成長具合にも目を光らせているものです。
「なんか、あの子最近急に上手になってきたよね~」などと心の中で思っていたところ、仮にこちらが「いやいや、練習も全然ちゃんとしなくて…」なんてへりくだった会話をしたとします。
すると、そのこちらの言葉を表面通りに捉えたママさんは、「そっか、うちの子の方が練習頑張ってるし…」とその時は安心するんですよね。
ただ、その後お互いの子どもにグングン差がつき始めると、嫉妬ママさんというのは「前はあんな事言ってたけど、絶対嘘じゃん!影でコソ練(コソコソ練習)してるんじゃん!」などと逆ギレされてしまうんですよね。
こちらとしては、ちょっとした謙遜のつもりで発したことばが、相手には嫌味として捉えられてしまう。
そんな状況にならないためにも、我が子の卑下のしすぎには注意すべきです。
「そんな練習してないよー」というのを「本人が今は習い事が楽しくてしょうがないみたい」などと言い方を変えるだけで、無駄な嫉妬を受けなくてすみます。
こんな気を使うのが嫌なので、私はだいたいおひとり様なのですけどね(笑)
それでも、文字や数字が好きな次男を羨ましく思ってくるママさんも実際にはいるため、私はいつも「今はこれが好きで、こればっかりしているからねー」と子どもの自主性を尊重した回答をするようにしています。
子どもがやりたくてやっている事に妬んでくるママはいません。
嫉妬の感情と上手く付き合う方法をみつけよう
嫉妬心というのは誰にでも湧いてくる感情です。
それを抑える方法というのはないと私は思っています。
ただ、その感情をどの方向に持っていくかで、その人の人間性が分かるような気がしています。
相手を自分と同レベルに引きずり下ろそうとするのか、自分が相手に近づけるように努力するモチベーションにするのか。
私は後者でありたいと常に思っています。
嫉妬をする相手というのは、自分にとって憧れの存在でもあると思うんですよね。
そこを目指したいのであれば、少しでも近づけるように自分なりに努力の仕方を考えてみる。
「自分には(子どもには)合わなかった…」と諦めるのもひとつの選択肢だと思います。
嫉妬の感情を、自分や家族にとってプラスに持っていけるような生き方をしたいものですね。
福岡市在住。年の差3兄弟を育てています。
次男が知的境界域の自閉症スペクトラム(ASD)です。
発達障害のこと、子育てのこと、趣味のビュッフェ巡りや旅行について書いています。
社会福祉士です。
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