【発達障害】ことばの遅れがみられる子どもへの接し方。大人ができる8つの工夫。

「うちの子、発達障害じゃないかしら…」

 

親がそう気付くきっかけのひとつに、ことばの遅れというものがあります。

 

子どもも1歳を過ぎると、「あーあー」「ぶー」などなんらかの発語がみられるのが一般的ですが、中にはいつまでたっても何も発しないという子もいるものです。

 

我が家の自閉症スペクトラムの次男もそうでした。

 

1歳を過ぎても全く喋る気配がなく、初めて「ねんね」ということばを話したのが2歳直前でした。

 

 

ことばの遅い子が必ずしも発達障害を抱えているかと言えばそうは言い切れないのですが、発達障害のある子どもにことばの遅れがみられることは多々あります。

 

ただ、そのような発達障害児がずっとことばを発しないままかといえばそうではなく、成長と共にその子なりのペースでことばは増えていくものです。

 

次男もゆっくりではありますが、5歳の現在は「おかーさん、なにしてるの~?」「ぼくもしたかった~!」などの会話ができるようになっています。

 

しかし、周囲に興味関心が向きにくい発達障害児の場合は、定型発達児のように「聞いて自然と覚える」というのは苦手です。

 

ことばの存在を知り、意味を理解し、使い方をマスターできるようにするためには、大人が丁寧に関わってあげることが必要になってきます。

 

そこで今回は、ことばの遅れがみられる子どもに対して大人ができる関わり方の工夫を8つまとめてみました。

 

療育機関の講演会で学んだ事を備忘録的にまとめた内容になっていますので、ご参考にしていただければと思います。

 

 

1.ことばのシャワーでストックを増やす

ことば(発語)の第一段階として、他者のことばを聞いて真似をするというのがあります。

 

意味の理解というのは後からついてくるもので、まずはことばを模倣するところが会話の基礎になります。

 

模倣するためには、その元となることばを子ども自身が自分の中に取り込む必要があり、そのためには大人がたくさん話しかけて、ことばのストックを増やしてやるようにすることが大切です。

 

「ただ話しかけるだけなら簡単」と思われるかもしれませんが、まだことばが話せない相手に対して一方的に話しかけるというのは意外と大変なものです。

 

話しかけても子どもからのリアクションがあるわけでもなく、聞こえているのか響いているのか分からない状態で自分ばかりが話しているというのは、場合によっては心が折れそうになります。

 

ですが、大人が話すことばというのは、必ず子どもの中で蓄積されていくものなのだそう。

 

ことばのストックがいっぱいになれば、それが溢れて発語につながっていくのだそうです。

 

ただ、その容量が子どもによって違うため、発語までに時間がかかる子・そうでない子という個人差がでてきてしまいます。

 

なかなか喋ってくれない子ども相手に疲れてしまうという方は、「今はことばを貯めている時なんだわ」と思うようにすると、ラクな気持ちで我が子と接することができると思います。

 

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2.子どもの発語をまねる(ミラリング)

子どもに発語がみられるようになると、それを大人がまねることで更に子ども自身の中にことばが入りやすくなります。

 

ミラリングと言いますが、子どもの発言に関して大人が反応を見せることで、より子どもの中に記憶として残りやすくなるのです。

 

これはちゃんとしたことばでなくとも、「あうあう」などの喃語でもOK。

 

大人が子どもの発語と同じように発音することで、子ども自身にとっても「自分に興味を持ってくれている」という大人からの関心が伝わります。

 

相手に関心を持つというのはコミュニケーションの基礎になる部分ですので、この大人と子どもの関わりというのは大切な部分です。

 

 

3.物を見せながら「見て分かる」ことばを増やす

このミラリングの時に、物を見せながらやると更に効果的です。

 

例えば、「あー」と言った子どもの目線の先にアンパンマンのぬいぐるみがあった場合、大人はそのアンパンマンを手に取って見せながら「『あー』だね」と言ってみる。

 

実際にその物を見せながら、それにことばを添えることで意味の理解が進みます。

 

ただこれは、子どもの注意がその物に向いている時に行うというのが重要です。

 

今子どもにとって興味がない物を目の前に持ってきて「ほら、りんごよ。りんご」などと大人が教えたとしても、興味がないのでなかなか入りにくいのです。

 

見て分かることばを増やすには、タイミングが大切になります。

 

 

4.ひとつ加えてことばを返す

先ほどのアンパンマンの例で言うと、「あー」と発した子どもに対して大人が同じようにまねをする際に、更に「『あー』だね。アンパンマンだね」とひとつことばを付け加えてあげることで、さらにことばの理解が進みます。

 

モデリングと言いますが、これは子どもにとって耳から情報を得る練習にもなります。

 

もう少しことばが話せる子の場合だと…

 

次男
次男

お花!

私

お花、きれいだね。

 

などと、その物の状態・様子をさらに詳しくあらわすことばを付け加えてあげると良いです。

 

概念的なことばというのは意味の理解が難しいものですが、実物を見せながら大人が適切にことばを添えてやることで、子どもにとって理解しやすくなります。

 

 

5.ことばの誤りを指摘せずに受け入れた上できれいに返す

ことばを添える上で気をつけたいのが、ことばの誤りについての対応です。

 

子どもがことばを獲得していく上で、言い間違いや覚え間違いは良くあること。

 

「アンパンマン」も最初から正しく言えるわけではなく、「あー」から始まり「アン」になり、「アンマン」だったり「アンマンマン」などと変貌と遂げながら最終的に「アンパンマン」という完成形に到達します。

 

子どもの「ことばで伝えたい」という思いを失わせないためにも、ことばの誤りについては直接指摘しないようにしたいものです。

 

ただ、そうは言っても言い間違いを放置しておくのも気になるというのが親心。

 

そういう時は、一旦子どものことばを受け止めた後で、正しい言い方を添えるようにして応答するのがおすすめです。

 

以前、次男はたんぽぽのことを「たんぽこ」と言っていました(これはこれでかわいくて好きな言い方だったのですが 笑)

 

そういう時も、私は「ほんとだ!たんぽぽ咲いてるね」などと、シレっと会話に正しい言い方を挟むようにしていました。

 

「違う!たんぽぽよ!」などと訂正せずとも、子どもは耳から聞いた正しいことばをきちんと積み重ねているものなので、気づいたら言い方が治っていたりするものです。

 

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6.子どもの気持ち・動作をことばで表す

たんぽぽのような物の名前(名詞)は、絵や実物をみることでことばとその意味を結びつけやすいかと思います。

 

ただ、気持ちや動作などは形として目に見えない分、それをことばで表すのは名詞よりも難しいものです。

 

そのため、子どもが今感じている気持ちなどを大人が察してことばで表してあげることが大切になってきます。

 

発達障害児の中には、自分の感情を上手く表現できずに激しい癇癪を起こしてしまうタイプがいますが、大人が気持ちを代弁してあげることで感情をコントロールする練習にもなります

 

また、大人が子どもの気持ちを察してあげることで、子どもにとっては「自分のことを分かってくれた」と大人との信頼関係が生まれるきっかけにもなります。

 

私はこの「大人が気持ちを代弁する」ということには、さまざまなメリットがあると感じています。

 

 

7.身ぶりや指差しを使う

気持ちや動作以外にも目に見えにくいことばとしては、大きさや距離などがあります。

 

このようなことばの意味を理解しやすくするために、大人は身ぶりや指差しなどを使うと効果的です。

 

「ぞうさん大きいね」と言いながら、大人が両手で空中に大きな円を描くように身ぶりしてみる。

 

「アリさん小さいね」と言いながら、親指と人差し指を使いながら小さい様子を表現してもよいでしょう。

 

空を飛んでいる飛行機を指差して「飛行機、飛んでいるね」と話すのも、方向の距離感をつかむ上で有効だと思います。

 

目に見えにくいものを視覚化して、子どもの中で想像しやすくする工夫も必要です。

 

 

8.具体的に聞く・話す

子どもといる時間が長い親にとって、子どもの思いを察するというのはそれほど難しくないのかもしれません。

 

我が子であれば、「あー」「うー」と言っただけで「このおもちゃが欲しいのかな」などとピンときたりするもの。

 

ですが、子どものことばを増やすためには、そういう場面で大人が具体的にことばに表したり聞き返したりするのが大切です。

 

まだはっきりことばとして表現できない子であれば、何か声を出した時に「おもちゃ、いる?」「ねんねする?」など思い当たる行動をことばで表す。

 

単語が出ているような子が「アイス」と言った場合、「アイス、食べる?」と具体的に聞くことで、子どものことばに広がりがでてきます。

 

私の場合、この点が子どもとの関わりでついついおろそかになるところでして、「あー、アイスね、はいはい」などと先回りして行動してしまう癖があるので気をつけています。

 

 

ことばの遅れがみられる子どもへの対応まとめ

以上、ことばの遅れがみられる子どもに対して大人ができる対応の工夫を8つご紹介してきましたが、これらを要約すると…

 

■ことばのインプットを増やす関わり方(語彙力・情報)
■子どもの反応に対する丁寧な関わり方(コミュニケーション)

 

の2つを意識するということになると思います。

 

ことばの遅れがみられる子どもというのは、多くの場合、耳からの情報を得ることに苦手感があります。

 

これは逆に、目からの情報を取り入れるのが得意という側面もあるため、ことばの発達を促すためには視覚からアプローチするというのが効果的です。

 

次男のように、会話はあまりできなくても平仮名などの文字を先に覚えてしまうケースもあり、そのような子の場合は文字でことばを教えるというのもおすすめです。

 

絵と文字をセットにしたカードなどを作ると、内容理解がグッと入りやすくなったりもします(上写真参照:テレビ新調したばかりだったので、あえて強めの口調 笑)

 

大切なのは、どういう方向に子どもの興味関心が向いているかを見定めることです。

 

 

ことばの遅れに対して、むやみに焦る必要はありません。

 

 

お子さんに合った方法を見つけて、親子で楽しくことばのやり取りを増やしていただければと思います。

 

 

コメント

  1. 発達障害疑い4歳男児の母です。療育センターに通いつつも明らかな変化は見られず、上の長男の対応にも思い悩んでいます。もうどうしたらいいんだーという時にブログを拝観し、当人のことはもちろん兄弟児のこと、同じ福岡在住なので療育関係のことなど、とても勉強になり感謝しております。一言お礼を申し上げたくコメントさせて頂きました。これからも拝見させて頂きます!

    • チーズ様

      ブログへのご訪問とコメント、ありがとうございました。
      子どもの成長は、一進一退だと最近つくづく思っています。
      ちょっとできることが増えたかなーと思ったら、以前よりも多動が増していたり…。
      悩みは途切れることなくやってきますよね。

      私自身、発達障害児との関わりや療育などは、講演会や勉強会などに参加したり日々手探り状態で学んでいるところですが、そうやって自分自身が得た情報や知識をブログで発信することで、少しでも同じような境遇の方の参考になれば…と思っています。
      チーズ様のお役に立てたようで幸いです^^
      これからも有益だと思われる情報はどんどん発信していきますので、こちらこそどうぞよろしくお願いいたします。

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