老老介護の問題点は介護現場の閉鎖性にある!父の負担を減らせるよう私が取り組んでいること。

Waiting for Blue Lapis Light performing Devotion on Lady Bird Lake in downtown Austin, Texas.
Swans at Sunset / ejmc
「じいちゃん、また夜中歩いてたよ」

 

父からこのような発言があるたびに、私は老老介護の想像を絶する現実を目の当たりにし、非常に落ち込んでしまいます。

 

父67歳、祖父95歳、祖母88歳は現在実家で3人暮らし。

 

祖父は要介護認定を受けており、今は週1回ヘルパーさんが家の掃除にきてくれるというサービスを受けています。

 

ただ、ここ最近、祖父が月に何度か夜中に徘徊するようになっているそうで、先日も「馬が逃げた」と言って外に出ていた祖父を父が引き戻したのだそう。

 

このような徘徊行為以外にも排泄の失敗なども多々あり、また自分と祖父以外を奴隷のように扱う祖母のこともあって、父は非常に疲労困憊しています。

arrow47_004「毒親育ちが毒親になる」と気づかせてくれた毒祖母とのお正月エピソード

 

自分の実の親でもない祖父母との生活に疲れきっている父を見ていると…

 

「介護施設に入居してもらえばいいじゃん」

「介護認定を見直してもらってサービス増やしたらいいじゃん」

 

と私としては言いたくなるのですが(実際言っているのですが)、老老介護にはそう簡単にはいかない複雑な家庭内事情があるのです。

 

そこで今回は、私の実家を例に、老老介護が抱える真の問題点について考えてみたいと思います。

 

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老老介護の現状

老老介護とは、介護する側もされる側も65歳以上である場合にそのように呼ばれます。

 

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グラフのように、老老介護は年々増加傾向にあり、最近では老老介護に行き詰まった家族の事件や事故などがメディアにも取り上げられる機会が多くなりました。

 

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参考:厚生労働省 平成25年「国民生活基礎調査の概況」

 

介護している側としては、配偶者や子などが61%以上を占めており、その全てが同居家族です。

 

私の父もそうですが、祖父母には他に3人の子がいますが、嫁にいったりなどで全て家を出ている状態なので、祖父の介護は父に頼りきっている状態です。

 

老老介護の問題点の一つに、介護負担を分担できないという理由があるように思います。

 

どうしても同居している身近な存在が介護をすることになり、それを代わってもらえる状況にないことが介護する側を追い詰めているような気がします。

 

 




 

 

老老介護が起こる原因

閉鎖的な環境

老老介護は介護者の自宅で行われます。

 

それ故、外部からの目が届きにくく、介護している側に相当の負担があったとしても、それを介護する側が客観視できていない場合が多いのです。

 

父もそうです。

 

「本当に大変だ」と私には愚痴をこぼしますが、それをどうにか改善しようという行動は起こさない。

 

痴呆が入りかけている祖父の場合、介護認定を見直してもらって、受けられるサービスの幅を広げるなどの手立てはとれるはずなんです。

 

なのに、現状を受け入れて我慢してしまうんですよね。

 

ただ、これは行政側の問題も指摘できます。

 

祖父のように祖母と父(子)という同居家族がいる場合、現行の介護保険制度では家事援助は原則利用できません

 

それは同居家族が家事をできるからという捉え方がされているからです。

 

ですが、老老介護をしている側の多くは、この家事に困っているというのも事実なんですよね。

 

特に父のような長年家事など一切してこなかった人間が、母が急死した日を境に家事・介護を一挙に担うということは並大抵のことではありません。

 

祖母は介護認定を受けていないとは言え、もともと家事・炊事など苦手な人でしたから、今もそれらはほとんど自分ではせず父に頼っています。

 

たしかに、長年家のことを一切してこなかったというのは父の個人的な理由ではありますが、現実にそれらで困っている人がいる場合は、行政も個別に対応してくれても良いのではないかと思うのです。

 

現に、今実家では家の掃除サービスだけは利用できているようなので、もっと援助の幅を広げられるようにしてもらえたらと思っています。

 

介護される側の価値観の問題

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私は老老介護において、この点が最も重要な問題点だと思っています。

 

私の祖父もそうですが、介護を家族以外から受けたくないという思いが強いんですよね。

 

「介護ヘルパーなどが家にくると近所に恥ずかしい」

 

など見栄を張るといいますか、他人に介護されることを恥だと思っている側面があります。

 

そして、親の介護をするのは子の努めという考えも持っています。

 

介護する父はそれに応えようと無理をするので、ますます疲れてしまうわけです。

 

便利で介護負担を軽減できるようなサービスがあっても、介護される側に利用の意思がなければ宝の持ち腐れ。

 

老老介護問題の解決には、この介護される側の意識改革というのが大前提にあると思うのですが、長年そのような価値観で生きてきた人にそれを要求するのは非常に難しいです。

 

痴呆の症状が出ている祖父なので、デイサービスや夜間ヘルパーなどのサービスを取り入れるよう父に言ってもおそらく「じいちゃんが嫌がる」という答えが返ってきます。

 

なので、今は祖父の専属のケアマネージャーさんと直接打ち合わせしようと私は段取りを進めているのですが、孫の私が動かないと結局父も重い腰をあげない、ゆくゆくは祖父母より父の方が先にあの世にいってしまうのではないか…という不安があるからです。

 

 




 

 

地域包括支援センターを徹底利用する

 

私は祖父の現状を父から聞くことでしか把握していませんが、あまりに父の様子が大変そうなので実家の地域を管轄している地域包括支援センターに連絡しました。

 

やはりケアマネージャーさんとお話するのが改善への一番の近道のようですが、介護問題で困っていたら、まずはお住まいの地域の「地域包括支援センター」へ連絡することが大切です。

 

介護されることなんて全然恥ずかしいことじゃない。ヘルパーさんに家事全般をしてもらうことも同様です。

 

人には限界があります。できないものは頼ればいい。そのために税金たくさん払ってるんです。

 

ただ、昔の人はいろんな意味で我慢強いですから、その考え方をいかに変えていけるかが課題ですよね。

 

「老人会の集まりなんかに行ったってなんも面白くない」と言っている祖父をどうやってデイサービスなどに通わせるのか。

 

本人が行きたくないものを無理に行かせる必要はないとも思えますが、大事なのは介護する側(父)の心身の負担のケアですよね。

 

制度を活用しきれない高齢者の凝り固まった価値観というものが、老老介護の現状に拍車をかけているように感じています。

 

 

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