我が家の次男は、現在療育園の年長児クラスに通っています。
癇癪・聴覚過敏などがある、激しいタイプの自閉症スペクトラム(ADHD疑い)児です。
卒園後の就学先がいよいよ決まってくると、今度は放課後等デイサービスに通うための手続きが本格化してきます。
放課後等デイサービスって何?という方は過去記事をご覧下さい。
施設の種類などについてはこちらに詳しく書いています。
私も早い段階から放課後等デイサービスについての勉強会などに参加し、実際に何カ所も施設を見学し、おおよそ通わせたいと思えるところに目星はついている状態です。
そんな中、現在放課後等デイサービスで実際に働いている職員の方のお話を聞く機会がありました。
そこで聞いたのが「こんな放課後等デイサービスだけは選んじゃいけない!」という刺激的な内容のお話でした。
福岡市における放課後等デイサービスの現状とともに、どういう施設を選ぶべきか、危うい施設の見抜き方などをうかがってきました。
そこで、今回は「見学に行った時にここだけは確認しておきたい!」という6つのチェックポイントをまとめてみようと思います。
「こんな施設だとは思わなかった~」と失敗しないためにも、ぜひお役にたてていただけると幸いです。
1.施設の運営理念を確認する
放課後等デイサービスの見学に行った時は、かならずその施設の方とお話する時間があります。
その時に、その施設ではどのような理念を持って運営をされているのかを聞いてみてください。
放課後等デイサービスというのは、学校が終わった児童を放課後ただお預かりするだけの施設ではありません。
そもそも、そこに通う子自体に心身面でのハンディキャップや特性があるわけで、そういう意味で発達支援にまったく知識のない人が施設運営をできるほど簡単なものではないからです。
以前も記事に書いたように、「療育系」「お勉強系」「運動系」など施設の特色はさまざまありますが、放課後等デイサービスが乱立している現在、非常に質の悪い施設があることも事実です。
「儲かりますよ」「コンビニ経営よりラクですよ」などのうたい文句で、何らかの事業を始めたいと思っている一般人に放課後等デイサービスへの参入を煽るような民間企業も実際にあります。
そういうところが運営してる放課後等デイサービスでは、発達支援などへの知識・関心が薄いので、実際の現場では子どもを放置(テレビを見せているだけ・ゲームをさせているだけ)しがちになります。
「共働きだから放課後子どもを預かってくれさえすればそれでいい」という方もいるかもしれません。
そういう方はとにかく空きがある施設を探せば良いのでしょうが、かかわる環境が大切な発達障害児の場合は、本当にそれで大丈夫なのかという疑問が私には残ります。
放課後等デイサービスとは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校(幼稚園及び大学を除く。)に就学している障害児につき、授業の終了後又は休業日に児童発達支援センターその他の厚生労働省令で定める施設に通わせ、生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進その他の便宜を供与することをいう。
出典:e-Gov HP より
児童福祉法では放課後等デイサービスについてこのように定められています。
放課後等デイサービスに通わせたいと思っているのであれば、その施設が子どもの成長に対してどのような取り組みをしているのかについては、つっこんで聞いても良いと思います。
2.スタッフの人数・資格
放課後等デイサービスでは、定員(子ども)10人に対して…
■児童発達管理責任者…1名
■指導員または保育士…2名
というように人員配置が決められています。
作業療法士や言語聴覚士のような有資格者が在籍している場合は、施設側に別途加算があります。
お話をうかがった職員の方いわく「在籍スタッフの資格についてはしっかり確認してください」とのことでした。
発達支援にかかわるような資格をもったスタッフは、やはり子どもへの接し方も理解した上で個別対応してもらえます。
ただ、注意しておきたいのが先述した「指導員」というスタッフのことです。
この指導員というのは、特に資格要因が必要なく、つまり何の資格がない人でもその肩書きを語ることができます。
この指導員という立場ですが、「児童指導員」となると資格要件が必要になります(教員・保育士・社会福祉士など)。また、これらの資格がなくても、放課後等デイサービスで2年勤務することで児童指導員の資格はとれます。
私は社会福祉士の資格で、児童指導員を数年していました。
施設のスタッフが指導員ばかり…というところは、ちょっと用心した方がよいのかもしれません。
ただ、放課後等デイサービスの中には、発達障害のお子さんをお持ちのママさんだけで運営しているような施設もあります。
なので、「有資格者がいないからそこの運営が低品質か」と言われれば必ずしもそうは言い切れないと私は思っています。
また、有資格者については「名義貸し(名前だけ登録しておいて実際は勤務していない)」などでごまかしている施設もあるそうなので、やはり保護者としては実際に施設に足を運んでみることは大事だと感じています(この業界つくづく闇が深いなぁと思う…)
3.日々の活動内容
放課後等デイサービスに見学に行くと、その施設の1日の流れを資料でもらえるかと思います。
<ある施設の例>
■15:00~16:00
学校お迎え・活動準備・おやつ
■16:00~17:00
自由遊びの時間
■17:00~18:00
帰宅準備・自宅まで送迎
だいたいどこの施設もこのような流れにはなっていますが、肝心なのは「自由遊びの時間」という部分です。
ここで何をしているのかでその施設の特色が出ます。
多くの場合…
■学校の宿題
■創作活動(絵を書いたり何か作ったりする)
■レクレーション(集団遊び)
■屋外活動(散歩・公園遊びなど)
このような内容で自由時間を過ごしているようです。
が、先日したように質の悪い放課後等デイサービスでは、ここでDVD・ゲームなどが入ってくるわけです。
DVD・ゲームを全否定するわけではありませんが、「それ、放課後等デイサービスでわざわざやってもらう必要ある?」という話です。
家でも十分できることですし、そういうことをさせるために通わせるメリットって何があるの?と私は思ってしまいます。
同年代の子とのかかわり、スタッフとのかかわり、地域の方とのかかわり。
そういう環境を活かせる取り組みを放課後等デイサービスには望みたいです。
なので、見学に行かれたら「具体的な活動内容」についてぜひスタッフの方に聞いていただきたいと思います。
これは私が実際に勤務していた放課後等デイサービスでの話ですが、そこでは連絡帳にやってもいない活動、また連絡帳は利用児童一律コピペというとんでも行為をしていました。重度心身障害児さんの多かった事業所だったので、活動内容などが一切バレる心配がないからこのようなありえない行為をしていたようです。すごく立派な理念をうたった事業所でしたが、このようなケースもあります。
4.安全面への配慮
ここからは施設内部の話になりますが、見学の際に「安全対策はきちんとされているか」を確認するのも大事です。
放課後の数時間であれ子ども達が過ごす場所ですから、しっかり確認しておきたい部分です。
■危険物(ハサミ・包丁など)が常に手に届く場所にないか
■階段などがある場合ゲートなどは設置しているか
■壁や机などのコーナー対策はしているか
■ドアは施錠できるタイプか(子どもが鍵をいじれないか)
■衛生面対策(消毒アルコールなど常備しているか)
私はざっとこのような点を確認しますが、他にも気になる部分が多いならば、見学の時にすべて見せてもらうとよいかと思います。
5.施設内の整理具合
安全面に加えて見ておきたいのが、施設内がきれいに整理整頓されているかどうかです。
保護者の見学の時でさえ施設内がとっ散らかった様子であれば、子ども達への支援や指導も余裕がない状態でやっているのでは…という印象を受けます。
また、それ以外にも書類関係の処理なども煩雑にされているのではないだろうか…という印象も私は持ってしまうので、施設内の整理が行き届いているかというのは要確認事項だと感じています。
6.テレビの有無
これは職員の方がこっそり話していましたが、テレビがある放課後等デイサービスはちょっと用心した方が良いかも…とのことでした。
先述したように、自由遊びの時間にテレビを見せているだけの可能性が高いからだそうです。
私の場合、実際に見学に行った放課後等デイサービスのうち、半数の施設にテレビがあることを確認しました。
テレビがなくてもやっている施設はあるわけで、そこを考えるとやはり放課後等デイサービスにテレビを置いている理由って施設側の怠慢ではないのかと感じてしまいます。
施設運営の理念と重なってくる部分ですが、親としては放課後等デイサービスに何を望むのかというのは通わせる前にしっかり考えておいた方がよいかと思います。
追記:利用児の障害程度を尋ねてみる
これは実際に私がとある放課後等デイサービスで働いてみて感じたことですが。
放デイを選ぶ際は、そこにどのような児童が多く通っているかは把握しておいた方が良いです。
事業所によって「療育系」「学習系」「運動系」などカラーがあると同時に、通う児童の障害程度もある程度偏ってきます。
私がかつて勤めていた事業所は重度のお子さんが多いところでしたが、そこに通っている軽度のお子さんは、正直放置され気味でした。
理由は、重度のお子さんに手がかかる(目が離せないので)、例えば軽度のお子さんがなんらかの理由で不穏状態になったとしても、人手が足りずに十分な対応ができない場合が多いからです。
この軽度のお子さんに非がある訳ではないです。事業所の運営体制が不十分なのですが、人手不足の現在、このようなことは放課後等デイサービス界隈ではまああることかと思います。
なので、放デイ選びの時には、お子さんと同レベル(または似たような特徴・特性を持っている)お子さんが多く通っているところがオススメだと思います。職員も対応に慣れていたりもしますし。
放課後等デイサービス探しは焦らず慎重に
放課後等デイサービスに通うのは義務ではありません。
また、就学してすぐに通わなければならないものでもありません。
職員の方は「変化の多い4月から施設を利用するよりも、学校に慣れた6月頃から通うのもおすすめですよ」と話していました。
私が思うに、今の放課後等デイサービスの乱立の要因のひとつに、障害児の保護者の焦りもあるのではないかと思うのです。
我が子の発達支援に熱心になるあまり、多すぎる情報に惑わされ、「放課後等デイサービスに通わせるのは当然」という意識を持ってしまうのではないかと。
その結果、通えない事に不安を覚え、「どこかに行っておかないと」と焦る人が増えた結果、そのような保護者心理に漬け込んだ悪質な営利目的の施設が増えてしまっているのではないかという気がしています。
もちろん、共働き家庭が増えてきているというのも放課後等デイ難民が増えている要因かとも思いますが。
とにかく、そういう質の悪い放課後等デイサービスの施設を増やさないためにも、保護者はその施設がどのような運営をしているのかしっかり目を光らせておく必要があります。
障害者ビジネスで一儲けしようなどという輩は滅んでしまえ!と個人的には思っていますが、発達支援に熱心な施設は今後どんどん増えて欲しい。
そのためにも、親は我が子の発達支援にかんして積極的に意思表示をしていきたいですね。
福岡市在住。年の差3兄弟を育てています。
次男が知的境界域の自閉症スペクトラム(ASD)です。
発達障害のこと、子育てのこと、趣味のビュッフェ巡りや旅行について書いています。
社会福祉士です。
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