「5時半までには帰ってきなさい」
先日、そう言って下校後に友達と遊びに行く長男を送り出した私。
その日は6時間授業だったので、帰宅自体もいつもより遅かったのですが、そのせいもあって長男からは…
「えー、それじゃあまり遊べない。6時まで」
と言われ、私は午後6時までに家に帰り着くなら…とOKしました。
が、実際に長男が帰宅した時間は午後7時前。
初めてこれほど大幅に約束時間を過ぎて帰宅した長男と、私は約束を守る事の大切さについてその夜はいろいろ話をしました。
そうやって実際に長男と話をする中で、私自身も「子供への約束の守らせ方」について考えさせられる部分がありましたので、まとめてみたいと思います。
約束とは何のためにするものか
私は、約束とルールは同義語だと考えています。
でも実際は違いますよね。
ルールは世間一般で決められていて、それを無視するとペナルティがあるもの。
一方約束は個人間の取り決めであり、大きな強制力はありません。
そのため、約束というのは時に軽視されがちになるものですが、私は社会で生きていく以上、約束を守れる人間になるということは非常に重要な意味を持つと考えています。
それは、「約束を守れる」ということが、相手に対しての信頼感や人としての評価の基準になるからです。
社会で生きていく以上、人は学校や会社などなんらかの集団に属して生活をすることになり、他人との接点というのはさまざまな形で必ずあるものです。
専業主婦であっても、ママ友関係などいろいろありますしね。
そんな中で、人との約束を守れない、自分勝手な振る舞いをする人物というのは、必ずつまはじきされるもの。
そういう人は、社会の中で生きづらくなり、結果的に自分の首を絞めてしまいます。
子供にはそのようになってもらいたくないから、小さい頃から約束を守る事の大切さを教えなければならないのですが、子供時代の約束なんて大したペナルティもなく、子供にとっては大したダメージを受けることもありません。
せいぜい、お父さんお母さんに大目玉を食らうくらい。
また、優しい親であれば、それを見越した子供は「約束破っても、また怒られればいっか」くらいにしか考えなくなるものです。
そんな子供には、「約束=ルール」としてそれぞれの家庭ごとのきまりを守る大切さを教え込む必要があると思っています。
約束を守らないと不利益が起こる事を思いしらせる
私たちが日常生活で約束を守るのはどういう理由からでしょうか。
多くの人が「約束を破ると相手に迷惑がかかる」という理由で約束を守っているのではないかと思います。
ですが、これは少々高度な理由だと思うんですよね。
自分のためというよりかは、相手の立場に立って物を考えた時の理由であって、これを子供に実践しろと言っても、なかなかできる子はいないと思います。
なので、まずは子供には「約束を守らないと自分に不利益が起こる」ということを身を持って体験させることが、約束を守らせる習慣の第一歩になるのではないかと私は考えています。
そういう意味では、約束をルール化してペナルティを設けるとも言うことができます。
大人の社会でも、例えば定められた時間までに出社するというルールを無視した場合、減給やクビなどのなんらかのペナルティーが課せられるはずです。
また、社内では「遅刻ばかりするだらしない奴」というレッテルを他の社員から貼られるという不名誉もうけます。
そうはなりたくないので大抵の大人はきちんと出勤するのですが、子供や学生となると、そのように遅刻をしたとしても大した損害は受けません。
せいぜい先生や親に怒られる程度です。
そのような環境の中では、子供の社会ではルール自体破っても特に困り感がでるわけではなく、子供の性格にもよるかもしれませんが、大胆な性格の子供の場合、「怒られればいいや」と開き直る可能性もあるわけです。
なので、子供の場合は、約束を守らないことで子供にとって不都合な状態が起こるように親が設定してあげるのは、約束を守ることの大切さを教える意味で有効な手段なのではないかと考えています。
例えば、おもちゃで遊んだら自分で片付けましょうという約束をしたとします。
子供が遊び終わっても片付けをせずにおもちゃを放置していたら、「お母さんが片付けても良いけど、これからはお母さんが片付けたおもちゃでは遊べないからね」という、子供にとってのペナルティを設けるのです。
「自分で使ったものは自分で片付ける」という、大人であれば多くの人が普通にできることでも、気の散りやすい子供の場合、ついつい片付けてから次の行動に移るということを忘れがちです。
そのような子供の様子を目撃するたびに、私は「先に片付けは?」と聞いていたのですが、「えー、めんどくさい」などと言うような場合は、このようなペナルティを設定するようにしています。
帰宅時間を守れない子にはどうするか
なぜその時間に帰宅する必要があるかを説明する
では今回の本題「帰宅時間を守れない子にはどう接するか」という点ですが、私は子供になぜその時間に帰って来ないといけないかをしっかり親が説明しなければならないと感じています。
今回の件では、私にこれができていませんでした。
長男が遊びに行く前にこの点をきちんと話しておけば良かったのですが、友達が迎えに来てあっという間に出かけてしまったので、じっくり話すことができなかったというのが本音です。
子供にとっては、親から「5時半までに帰って来なさい」と言われても、それが何のためか分からなければ守る意味を見いだせないと思います。
事実、長男と話し合っていた時に「なんでお母さんばっかりいつもいろいろ決めるの?」と聞かれました。
長男としては、私が何もかもを一方的に決めている印象があり、それが面白くなかったのでしょう。
私は…
■5時半を過ぎると暗くなり、人目につきにくくなるので危険なこと
■事故や事件にあう可能性が高くなること
を話しました。
ただ、日が陰り出す時間帯というのは、季節により異なります。
夏場であれば午後7時くらいでもまだ十分明るいですし、逆に冬場は5時でも薄暗くなってしまいます。
そこで昔の親は「暗くなる前に帰ってきなさい」と子供を遊びに行かせていた記憶があるのですが、これは子供の安全面を考えても納得できるものです。
ですが、この「暗くなる」という捉え方も、子供によりさまざまだということが先日の長男約束破り事件で気がついたんですよね。
私としてはもう十分暗いと思っていた時間帯でしたが、長男と友達にとってはそれほど暗いという印象を持っていなかったようです。
そこで、やはり親が季節ごとに日照時間の事を考えて、帰宅時間を設定して遊びに送り出してやることは大切だと感じました。
家庭ごとに約束があることを理解させる
今回の件で、長男は私との約束の時間になった時に、友達に「時間になったから帰らないと」と一旦は言ったそうです。
ですが、その時に友達が「うちはまだ帰らなくて大丈夫だから遊ぼう」と言われたのだそう。
そのように友達に押し切られる形で遊んでしまったと長男は話していましたが、この点も2つほど注意しました。
まず一つは、友達のせいにしないということ。
友達が「まだ大丈夫」と言っても、長男にとっては私との約束の帰宅時間があるわけです。
それを分かっておきながら、「友達が言ったから…」で一緒になって時間を守らず遊んでしまったということは、一緒に遊んだ以上友達だけの責任ではないという話をしました。
遊ぼうと決めたのは長男自身なのだから…と。
家によって何時に帰らないといけないのかというのは違うものだし、友達は友達でお家の人と約束をしているだろうから、長男が友達の家の約束にあわせることは無いと話しました。
これが2つめの注意点です。
それぞれのご家庭でいろいろな考えがあって子供と約束事をしているでしょうから、長男にはお母さんと約束した事を守って欲しいと話しました。
親がどれだけ子供の心配をしているかを伝える
長男は奇跡体験アンビリバボーを観ていても「ぼく、このお話みていると泣きそうになるの」というくらい、感情豊かな子なのですが…。
このような子の場合は、帰宅時間を守らなかった事について親がどれほど心配したかを伝えると非常に効果的だと感じました。
実際、時間になっても帰ってこなかった長男に私は本当に心配でしょうがなかったのですけど、そのことを長男に話すと涙ぐんでいました。
「どこかで怪我をして帰れないのかと思っていた」
「誘拐されたのではないかと心配していた」
このように約束を守らないことで周囲に心配や迷惑をかけているということを子供自身に思いしらせるのは、約束を守る事の大切さを学ぶ上でも重要ではないかと思います。
先述した、「社会生活を送る上でも必要な、他人を思いやる気持ち」を育むことにもつながるのではないでしょうか。
約束を守れる子になるための3つの理解
以上のように約束を守らない小学生の子供にどのように接するべきかということをいろいろ考えてきましたが、この3点を理解させるのが大切だと感じています。
■何のための約束かを理解させる(約束の意味)
■約束が守れないと自分に不利益が起こる事を理解させる
■約束を守らない事で周囲に心配や迷惑をかける事を理解させる
これはどれも大人になれば、誰かと何かの約束をしてそれを破った時に自然と起こる現象です。
実際自分が大人になり、その立場になって初めて真の意味が理解できるのかもしれませんが、小学生の子供にとって約束を守らせるということは、世の中のルールを守れる人格の基礎になる部分ではないかと私は考えています。
そうは言え、自分の幼少期を振り返っても、子供時代というものは親に言われた事をそのまま守らずに、ちょっと悪さやおふざけをしてみたい年頃でもあるので、そういった面を親も多少は考慮してあげる必要もあるのかもしれませんが…。
ただ、約束というのは相手を思う気持ちだったり思われる気持ちだったりを養うという面でも大切な親子の行為だと私は思っているので、私自身も独りよがりにならず、長男と一緒に約束のあり方について今後も探って行こうと思っています。
福岡市在住。年の差3兄弟を育てています。
次男が知的境界域の自閉症スペクトラム(ASD)です。
発達障害のこと、子育てのこと、趣味のビュッフェ巡りや旅行について書いています。
社会福祉士です。
コメント
書いてる事は正論で納得できるのだけど
それを何年も繰り返しても変わらない子供にどうすべきなのか悩んでます。
どこの育児の話を見ても、そんなの散々やってるよ、それでもダメだから悩んで検索してるのに
当たり前のありきたりの常識的な事しか書いてなくてガッカリするんですよね。
知りたいのは更に先の次元の話。
その結果が出るのに10年以上もかかるなら、それまでに道外して警察沙汰で取り返し付かないですよ。
そうなる前に何とかしたいのに。
useless様
ブログへのご訪問とコメント、ありがとうございました。
子育てというのは、実践したら即効果がでるようなものではないので、親としてはヤキモキすることも多々あるかと思います。
「この前も言ったのに!」「何度言えばわかるのか…」と思うこと、私も日々あります。
ただ、子どもというのは一人ひとり人格や個性も違うため、一般的に普及しているような対応法・子育て法がすべての子に当てはまるかといえばそうは言い切れないと思うんですよね。
その子に合った方法を、親も手探りで探しながら地道にやっていくしかないと感じています。
療育の勉強会などでも言われることですが、親には時に子どもに対して「待つ」という忍耐も必要だそうです。
経験豊富な親は、ついついあれやこれや子どもに対して口を出したくなるものですが、そこをグッと堪えて子どもの意思にまかせるのだそう。
そうすることで、子ども自身はその経験から、達成感や反省を学んでいくのだそうです。
「そんな悠長にしている間に大事件を起こしたらどうするの?」と思われるかもしれませんが、そういう一大事を起こす前に小さな失敗を積み重ねることで、その経験が取り返しのつかない事態を回避してくれるのではないかと思っています。
「こういう方法を試せば必ず子どもの行動は改善する」というようなことを私も断言することはできませんが、子どもに接する上で私が大切にしているのは「意思を尊重する」「大事に思っていることを伝える」というところです。
お子さんの今の気持ちを上手く引き出せるとよいですね。