「一体何から教えれば良いのやら…」
我が家の長男は現在小学2年生。
先日、小学校で勉強している国語の内容を自分でまとめた冊子を持ち帰りました。
「たんぽぽのちえ」という読み物を読んだ上でさまざまな質問に答えを書いており、それを先生が採点してくれていたのですが、それはそれはツッコミどころ満載な内容でした。
「て・に・を・は」が抜けているというのは当然のように存在し、文章自体も口語体だったり、中でも私がもっとも気になったのは「質問の内容に的確に答えられていない」ということでした。
来月には夏休みに入るということもあり、その期間の宿題としておそらく読書感想文の提出があると思われます。
小学1年生の時点では読書感想文は希望者だけでしたので、我が家は本人の希望によりさせませんでした。
1年進級した本年度はちょっと読書感想文にチャレンジさせてみようかなと考えていた矢先、長男の国語力を目の当たりにして「今年も無理かも…」と思い始めているところです。
ただ、読書感想文自体は親がある程度手ほどきをしてやれば、それなりに体裁の整ったものを書き上げることは小学2年生でも可能だと思うのですよね。
ですが、それでは本人の力で書いたものとは言い難く、私自身がそのようにしたくないという思いが強いです。
自分の力で本を読み、理解し、文章に表せるようになって欲しい。
そのためには親は読書感想文の書き方を教えるよりも、まず文章の読解力を養えるよう導いてやる方が先決だと私は考えています。
そんなように文章に対する熱い思いを私が持っているのには、私が以前ものを書く仕事に就いていたからというのも理由の一つです。
某予備校の小論文添削をしていた時の話
私は以前、某予備校の小論文添削のお仕事をしていた時期があります。
自宅でできる内職として、転勤で福岡に引っ越してくるまでやっていました。
私がこのお仕事をしようと思ったのは、私自身が大学入試の時に小論文を得意としていたというのがありました。
また、添削期限などはありますが、ある程度自分の都合でお仕事を進めていくことができるというメリットがあったため、急な幼稚園からの呼び出しなど対応できるこの小論添削のお仕事は小さな子がいる私のような主婦にはもってこいでした。
小論文添削では、私は文系・医系問わずに担当していましたが(どっちかと言えばやり手の少ない医系小論文を任されることが多かった)、添削していると学生の日本語力に度肝を抜かれることも多々あったものです。
「違くて」「片して(片付ける)」など、口語体か方言、または造語と思しき言葉を使って文章を書いている学生も実際いました。
「小論添削、ここからか…」と最初はびっくりしたものですが、このような口語体と文章体の違いについては、私はやはり小さい頃からしっかり教えておく必要があると思います。
小学2年生の国語文章問題モヤモヤ回答
では、長男の場合、実際に国語の文章問題でどのような回答をしているのか。
こちらをご覧ください。
「こまっている(困っている)」と書きたかったところ、「っ」を抜かした形で書いてしまっています。
一見ケアレスミスにも見えますが、長男はこのような小書きが抜けている場合が多いです。
話し言葉としてはきちんと発音できているのですが…。
また「て・に・を・は」もしょっちゅう抜けています。
「かれてるよう(に)おもいました」とありますが、これは長男は普段からも「○○よう おもった」などと、て・に・を・はを抜かして喋ることが多く、そのためだと思われます。
そして「どう思ったか」という内容に的確に答えられていない。
(「枯れている」というのは思ったことではなく、教科書に書いてある事実ですし)
長男のことばの発達については以前も何度か記事のなかで書いてきましたが、通級教室などに通ったり、日々の生活の中でちょっとずつおしゃべりは上手になってきているものの、いまだに同学年の子と比べて「ちょっと幼いかな」と思う場面があります。
幼稚園から小学校低学年までのいじめを見抜くにはどうすべきか。その方法と対処法について。
担任からは「長男くんはちゃんと言葉を選んで自分の気持ちを喋れています」とおっしゃってはいただいていますが、このような国語の文章問題をみると、やはり彼の国語力が今一歩な感じがしてなりません。
小学生の頃、長男と似たような感じだったという主人は「まだ2年生だし大丈夫」と言いますが、そんな主人も実際理系。(私は文系)国語はそれほど得意ではなかったようです。
単に個人の得意不得意というだけの理由かもしれませんが、国語力というのは「物事を理解し考える」「相手の気持ちを読み取る」など、生きていく上で重要な意味を持ってくるものでもあります。
単に机上の学問というだけの範囲にとどまらない「読解力」という力を小さい時期から身につけてもらいたいという思いから、私はある試みに取り掛かりました。
様子を表すことばの理解を試してみた
擬音語や形容することばの理解がどの程度かを試してみました。
この問題は小学2年生国語科というサイトでダウンロードしたものです。
教科書の内容問題以外にも、このようにことばの使い方の勉強ができるプリントも揃っていてとても便利です。
この様子を表すことばについては概ね理解できていたものの、「なくようす」というところが理解できていないようでした。
長男はかつて年長時代に「ことばの教室」という通級教室に通っていた時にも先生から「相手の気持ちを理解することが苦手なようです」と言われていたのですが、このテストをしてみてその原因が分かったことと、いまだその傾向があることも同時に分かりました。
彼の場合、おそらく様子や気持ちを表現する「語彙力」がまだ少ないんです。
人が「泣いている」ということは分かっても、その泣き具合によって相手の気持ちがどの程度なのかというところまでは推し量れない。
実際その様子をみればわかるのでしょうけど、ことばとして表すのみでは、その状態を理解するのは難しいと思われます。
これは実際、親である私などが例えばテレビなどを一緒に見ていて「あの女の子、メソメソ泣いているね」などと意識的にそのような表現を用いて会話してやるのが有効かなと思っています。
子供向けの読み物を読ませるという方法もありますが、そもそもことばの意味を理解していない子にいきなり本を読ませても、何が書いてあるのか訳がわからず苦痛ではないか、と。
私自身もこの長男の回答を見て「様子を表すことばというのをあまり使っていなかったな」と考えさせられたので、今後は意識して「雨が降っているね」ではなく「雨がシトシト降っているね」などと話してみようかと思っています。
文章の組み立て方を試してみた
これも様子を表すことばを使った問題ですが、それらを用いて短文を作るものをやらせてみました。
「1」は適当なことばを選んで記入するタイプの問題でしたが、③にかんしては私はこれも答えの一つだと思うんですよね。
正解は「(ひまわりのような)明るいえがお」でしたが、「(やさしく)明るいえがお」も間違いではないかと。
⑥の「春風が(ゆっくり)吹く」も小説などでは用いられそうな感じではありますが、この場合は下記の選択肢から選ぶという問題意図を組むと「やさしく」になりそうな感じです。
ただ小学2年生でそこまで考えられるか…と思うと、若干この問題難しいような気もしますが。
ただ、私がそれら以上に気になったのは、次の短文問題。
様子を表すことばを用いて文章を作るという問題ですが、②の「もくもく」で私は吹いてしまいました(笑)
「(もくもく)きびきび・すみずみまで。」という、掃除の標語のような、教室の黒板の上に貼ってありそうな文章。
文章というのは主語と述語があって初めて成り立つものですが、そこも教えなければならないと痛感しました。
さらに難易度の低い短文を作る練習をさせてみた
これは以前小学1年生の困り事の記事でも書きましたが、ぷりんときっずというサイトで国語の問題もダウンロードできます。
小学1年生の親が進級するまでに改善しておきたいと思っている子供についての悩みを5つまとめました。
長男の文章作りに難有りと分かったため、さらに簡単な文を作る問題をさせてみました。
「ながれぼし」が正しく書けていないなど彼のおっちょこちょいな性格もちらほらしていますが、概ね全問正解。
「なかなか文章を組み立てて作れない」というお子さんには、このようにことばを選んで文章を作るという練習からやっていくと良さそうです。
読書感想文とはどのようなものなのか
私は小論文の添削員として仕事をしてきたので、論文の書き方というのはある程度頭の中にあります。
小論文は…
■課題文の理解がうかがえる内容
■そこからの問題提起
■問題提起に関する具体例と持論を展開
■持論に対する予想される反論への反論
■結論
という順序で書くと、読み手としては書き手の考えを受け入れやすく説得力のある論文が書けます。
方や読書感想文というと「本を読んで思ったことを書けば良い」と思われがちですが、ただ思ったことを書くだけでは説得力も出ませんし、内容に深みもでません。
読書感想文は…
■自分がその本を読もうと思った動機
■読んでみて心に残った場面はどこだったか
■なぜそう感じたか・思ったか・考えたか
■「自分だったらこうしたい」という発展的内容で結論づける
という構成が私としてはベストだと思っています。
ただ、こんなの小学校低学年から一人で書き上げられるものではないです。
親が手入れや入れ知恵をしてあげないと、なかなか入選できるような読書感想文は普通は書けないと思います。
ですが、私は子供の読書感想文は絶対手伝いたくない派です。
親があーしなさい、こう書きなさいと言って書かせた読書感想文で賞をとったとしても、その子にとって何の意味もないですし。
親が8割書いたような読書感想文で賞をとっても、そんなの当然ですしね。
(入賞しなかった時がウケますけど 笑)
どの本を読んで、何をどう書きたいかは子供に任せるべきです。
親が子供の読書感想文対策として手伝ってあげるべきは、正しい文章の書き方を指導することくらいでしょう。
原稿用紙の使い方・句読点の使い方、また長男のように文法や表現に苦手があるお子さんはそこを重点的に指導してあげる方が、結果的に子供自身が自分の力で素晴らしい読書感想文を書ける力につながっていくと私は思っています。
また、何より読書感想文を書くにあたって大切なのは、読解力です。
内容を読み解く力が不可欠になりますが、それも「正しく文章を書ける」ということがマスターできれば、自ずと文章を読み理解できるようになると考えています。
まだ小学校低学年だし…と思うか、早い時期から正しい文章の書き方を…と思うかは保護者次第なところもありますが。
正しい文章を書けない予備校生の小論文を添削し続けていて思ったことは、やはり早期から正しい文章に触れさせるというのが大切ではないかと考えています。
そういった意味でも、親としては読書感想文の書き方を教える前に、まず子供に文章を読み解く力をつけてやることが大切です。
文章の内容を正しく理解できるためには、言葉を知り、そこに何が書かれているのか子どもが自分なりに解釈できるようになる必要があります。
語彙力はもちろん必要ですが、それ以上に自分の思いを自分の言葉で表現できる力も大切になってきます。
まずは、たくさん文章を書かせてみましょう。
なんでも良いので、自分で考えて文章を作れるようになれば、文章を読んで理解する力も同時に高まります。
読書感想文を書くのは、まずはそこからです。
日頃から親子で楽しんで言葉にふれる取り組みをしたいものですね。
福岡市在住。年の差3兄弟を育てています。
次男が知的境界域の自閉症スペクトラム(ASD)です。
発達障害のこと、子育てのこと、趣味のビュッフェ巡りや旅行について書いています。
社会福祉士です。
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