我が家の次男は現在4歳。自閉症スペクトラムの診断名がついています。
こだわりと癇癪の強さが特徴なのですが、年中の現在、福岡市内にある療育園に通園しています。
その療育園では2016年度から年に2回、家庭訪問が実施されることになりました。
前期は相談員さんが、後期はクラス担任がやってくるのですが、先日前期の家庭訪問が実施され、相談員さんとお話する機会がありました。
小学校や一般的な幼稚園の場合、家庭訪問の懇談時間というのは10分程度のものですが、療育園では50分ほどいらっしゃいました。
その一週間前に園で実施された個別面談も50分という時間を設けてありました。
療育園のような児童発達支援を専門に行う施設では「家庭と園の連携」ということを重視しているため、このような形態をとっているように思います。
そこでは相談員さんと次男についていろいろお話する中、次男のきょうだい児である長男の話題も出てきました。
今回のお話では、特に発達障害児ときょうだい児の関係性について心に残るものがありましたので、まとめておこうと思います。
相談員とはどのような仕事なのか
その前に、相談員という存在についてお話しておきます。
次男の通っている療育園には「医師 発達相談員 ケースワーカー 相談支援専門員 理学療法士(PT) 作業療法士(OT) 言語聴覚士(ST) 看護師 外来専任保育士」などが在中していますが、その中でも発達相談員が保護者からの悩みや保育上の困り事などの相談に応えてくれるようになっています。
この発達相談員は臨床心理士などが担当しているようで、保護者の心のケアに努めるのも仕事のようです。
「臨床心理士」とは、臨床心理学にもとづく知識や技術を用いて、人間の“こころ”の問題にアプローチする“心の専門家”です。
…中略…
臨床心理士は、人(クライエント)にかかわり、人(クライエント)に影響を与える専門家です。しかし、医師や教師と異なることは、あくまでもクライエント 自身の固有な、いわばクライエントの数だけある、多種多様な価値観を尊重しつつ、その人の自己実現をお手伝いしようとする専門家なのです。
出典:日本臨床心理士資格認定協会HP より
障害者を抱える家族というのは、その家庭の数だけ様々な苦労を抱えているものです。
そんな家族の悩みを聞き、家族自身が自らその方向性を見いだせるよう導くのが発達相談員のお仕事のようです。
児童支援利用計画の達成具合について確認される
次男が療育園に入園する前に、一度発達相談員から家庭訪問を受けています。
その際に「次男にどのような成長を期待するか」という点で相談員と打ち合わせをしました。
今回はその内容の確認と、現在の次男の様子をお話する中で、保護者として利用計画にどの程度満足しているかということを確認されました。
次男の成長については以前年齢ごとに記事をまとめましたが、実は療育園に入園してからまもなくひどい癇癪をほとんど起こさなくなっていました。
それは現在も継続中でして、以前は思い通りにならなかったり不測の事態が起こったりするとひっくり返って大暴れしていたのが、最近では目に涙をいっぱい貯めて我慢している様子がみられるようになってきました。
次男なりに自分の気持ちに折り合いをつけようとしている様子が少しづつうかがえるようになってきており、そのような変化について相談員さんとお話しました。
また、日々の変化を受け入れるのが苦手な次男なので、療育園でのイレギュラーな行事が入っている日には、前日からその旨を次男に言葉で伝えておくと、当日は比較的落ち着いて行動できるようになった事も伝えました。
このような次男の成長に相談員さんも「言葉で理解できるようになったというのは大きな成長ですね」と一緒に喜んでくださいました。
私は入園前は利用計画の目標として「気持ちの切り替えがスムーズにできるようになって欲しい」という希望を伝えていました。
まだまだ完璧ではないですが、その目標に少しずつ近づいている次男の様子から、現段階では利用計画の達成具合は「概ね満足」ということで相談員さんに伝えました。
このような支援の状況と保護者の意思を、園側との共通理解として持っておくための橋渡し役が相談員さんの主な仕事のような気がします。
話題はきょうだい児の事へ…
家庭訪問の間は雑談も交えながら、相談員さんとはいろいろなお話をしたのですが、私がふと発した話題からきょうだい児の内容になりました。
というのも、療育園での夏休みは10日間ほどしかないということから、私はその間きょうだい児である長男との時間がたくさん持てるのはありがたいという趣旨の話をしたのです。
きょうだい児についても以前記事にしていますが、兄弟に障害者がいる場合、そのきょうだいには将来的に精神面での不安定さなどが出てくる場合があります。
私も長男に関してとても心配しているのがこの点です。
強いこだわりや特徴を持っている次男と一緒に生活することは、どうしても長男より次男を優先せざるを得ない場合が多くなります。
そのため、必然的に長男に我慢をさせる事が増え、親としては兄弟平等に接したいという思いはあっても、長男にとってそれは平等とは受け取れないと思われる現実を突きつけてしまうのです。
相談員さんとはそんな話をしながら私の中のさまざまな葛藤を聞いてもらっていたのですが、そこで相談員さんからハッとさせられる提言がありました。
親ときょうだい児の関係性が重要な理由
相談員さん曰く…
「きょうだい児さんは家庭内の状況をちゃんと理解している」
「自分が我慢しなければ家庭が回らないこともわかっている」
とおっしゃった上で、「親ときょうだい児の関係が、ゆくゆくは障害児ときょうだい児の絆を作っていく」と言われていました。
我が家の長男も時に「次男君ばっかりずるい!」「なんでいっつも僕だけ…」などという時があります。
ですが、そのような時ばかりではなく、時に甲斐甲斐しく次男のお世話を焼いている様子も垣間見えるのです。
長男のお友達が家に遊びに来たときのこと。
家の中は飽きたのでみなで近所の公園に行こうとしていた時、なかなか皆のペースについて行動できない次男を庇うように「次男君は早く走れないから、ゆっくり行ってあげて」などとお友達に声をかけている長男の様子がありました。
また義理実家では、長男と次男の様子を見た姑が「長男君が次男君に優しくしてあげられるのは、親であるあなた達が長男君を大事にしてあげているからね」と言われたこともあります。
相談員さんや姑のお話でもあるように、私は「親はきちんと自分を見ていてくれる」という認識がきょうだい児の中にあれば、きょうだい児と障害児の絆はしっかりできていくのではないかと考えています。
次男が一緒の時はどうしても次男優先になってしまうものの、長男と私二人きりの時は、私は徹底的に長男を甘やかしています。
それは物を与えるとかではなく、長男も私と何かを一緒にするということに喜びを感じているようなので、一緒に近所を散歩したりお菓子作りをしたり、「次男君には内緒ね」とわざと言いながら二人で楽しんでいます。
ですが、そのように長男と接することで、長男は必ず次男に秘密にはせず、次男にも散歩の最中に買ったお土産をあげたり、作ったお菓子を渡したりしています。
心が満たされると他者へ優しくできる余裕も出てくる。
これがゆくゆくは障害児ときょうだい児の絆につながっていくのではないかと私は考えています。
発達障害児の就学前に親ときょうだい児で確認しておきたいこと
こんな話を相談員さんとしていた時に、相談員さんからこのように言われました。
次男君の就学前には、長男君と次男君のことを周りのお友達にどのように説明するか話し合っておくと良いですね
今回次男の就学についての話もしたのですが、私は今はまだはっきり次男の進路については決めていません。
今後の成長具合にもよりますし、私の中で「絶対小学校でないと!」などのこだわりはなく、その時点で次男にとってベストな就学先を選定できれば良いと考えているからです。
ただ、できれば兄弟揃って小学校に一緒に登校してくれれば私も安心ですし、そうなってくれれば良いなという希望はあります。
そんな時に、例えば次男が長男の通っている小学校の支援学級に通うとなった場合。
相談員さん曰く、中には次男に対して、またそのきょうだいである長男にも辛辣な言葉を投げかけてくる子もでてくる可能性があるとのこと。
これは私も経験があって、実際長男の同級生の子が支援学級の子を差別するような発言をしていたと長男から聞いた事がありました。
長男のクラスにいた支援学級の子について「支援学級の子とはお友達になりたくない」と言っていたのだそうです。
私はそれを聞いて他人事ながら悲しくなりましたが、それも現実。
障害に対しての理解の程度というのは個人差の大きいものです。まして子供なら尚更大人以上に残酷な場合もあります。
そこで、きょうだい児である長男のためにも、「自分の弟はこういう子なんだ」と長男が自信を持ってお友達に紹介できるよう、親子で考えておく事が大切なんだそうです。
中にはそれをしっかり受け止めて理解してくれる周囲の子もでてくるのだそう。
きょうだい間の関係は、一般的に親子のそれより長く続くものです。
発達障害児ときょうだい児が強い絆を作っていくためには、親が「あなた達は大切な存在なんだよ」としっかり伝えていくことが大切なのだと改めて気づかされた今回の家庭訪問でした。
福岡市在住。年の差3兄弟を育てています。
次男が知的境界域の自閉症スペクトラム(ASD)です。
発達障害のこと、子育てのこと、趣味のビュッフェ巡りや旅行について書いています。
社会福祉士です。
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